2011 Fiscal Year Annual Research Report
企業の不動産戦略と企業価値に関する実証研究と事例研究
Project/Area Number |
22530361
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
砂川 伸幸 神戸大学, 大学院・経営学研究科, 教授 (90273755)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 尚志 神戸大学, 大学院・経営学研究科, 准教授 (30403223)
山口 聖 広島経済大学, 経済学部, 講師 (40548757)
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Keywords | 企業不動産 / 株式市場の評価 / コントロール変数 / 説明責任 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度に作成したデータベースを用いて、企業不動産と株式市場の評価に関する実証研究を行った。加えて、企業不動産と市場の評価に関する先行研究のまとめと、株式市場に評価に関する実証研究と事例研究を行った。 まず、企業不動産と株式市場の評価について、1990年1月-2009年12月までのデータを用いて実証分析を行ったところ、次のことが明らかになった。第一に、不動産投資を増加した企業ほど、株式の年間パフォーマンスが低下している。このことは、複数の方法を用いた検証のいずれにおいても確認できた。サンプル期間において、株式市場は、企業の不動産投資をネガティブに評価したといえる。第二に、企業不動産を含む有形固定資産を増加した企業ほど、システマティックリスクが上昇した。株式市場の評価が低下したのは、リスクの増加が一因であると考えられる。元来、不動産や固定資産の投資は、事業リスクを高めるものであるが、市場はリスクに見合うリターンを稼げないという評価をしたようである。本研究結果は、現在論文としてまとめているところである。 次に、企業不動産を直接あつかったものではないが、関連する研究として、株式市場とコンプライアンスや説明責任の関係について、予備的な調査を行った。コンプライアンスの向上や説明責任を果たすことは、投資家の評価を高めることを確認した。コンプライアンスや説明責任の指標は、不動産戦略に対する株式市場の評価をコントロールする変数として必要な可能性がある。コンプライアンスに関する成果は、ワーキングペーパーである。 また、株式市場の評価に関連して、ファイナンス理論の貢献についてまとめた論文を寄稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
データ収集と実証分析は順調であるが、事例研究については、計画より若干遅れがでている。インタビュー先の論文発表に対する承諾が得られにくいことが理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の理由のため事例研究については見直し、実証研究により注力することを検討している。
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