2012 Fiscal Year Annual Research Report
企業の不動産戦略と企業価値に関する実証研究と事例研究
Project/Area Number |
22530361
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
砂川 伸幸 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (90273755)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 尚志 神戸大学, 経営学研究科, 准教授 (30403223)
山口 聖 広島経済大学, 経済学部, 准教授 (40548757)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 企業不動産 / 株式市場の評価 / システマティックリスク |
Research Abstract |
本研究では、企業の主要な事業資産である不動産(Real Estate)に注目し、不動産の保有とそれが企業価値に与える影響について実証研究を行った。企業は戦略的に不動産を保有したり、売却したり、賃貸したりする。そのアクションに対して、株式市場がどのように半どうするかを株価のパフォーマンスとリスク尺度である株式ベータを用いて検証した。まず、不動産保有比率(対総資産)では、欧米の30%に対し、日本の東証1部上場企業は20%程度である。サンプル期間の相違もあるが、日本企業は不動産保有比率が高いということはない。次に株式市場の反応であるが、株価に影響する変数をコントロールした後、不動産保有比率が上昇した企業の株価は、平均的に有意な下落にあることが分かった。欧米の実証研究では、企業の不動産保有比率の増加が株価にネガティブなインパクトを与えるという結果が示されている。本研究は、同様の結果が土地神話のあった日本においても観察されることを明らかにした。先進国の資本市場や投資家は、企業が戦略的に不動産を保有することを好ましいとは考えていないようである。日本においては、企業の不動産保有比率が低下傾向にある。企業の行動は、資本市場の評価を考慮したものであると解釈できる。株価が下落するのは、収益力が低下するか、リスクが高まり資本コストが上昇するかのいずれかである。本研究では、とくに後者のリスクに焦点をあてて、株価下落との関係を調査した。その結果、不動産保有比率と企業のシステマティックリスクの間には、正の相関を観察することができなかった。資本市場は、不動産保有に見合う収益が上げられないという見方をしている可能性がある。本研究のサンプル期間は、1977年から2009年であるが、この期間は、平均的に不動産は割高な投資対象であったといえる。本研究の成果は、現在、海外雑誌に投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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