2011 Fiscal Year Annual Research Report
進化型計算手法を用いたグローバル経営人材育成のための適性評価システムの開発
Project/Area Number |
22530364
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
松村 幸輝 鳥取大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60239077)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白木 三秀 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (80187533)
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Keywords | 人的資源管理 / 経済のグローバル化 / 適性評価システム / 進化型計算 / 決定木手法 / 海外派遣業務 / アンケートとヒアリング / データベース |
Research Abstract |
海外派遣者に必要とされる資質や要件としてコミュニケーション能力やリーダーシップ能力が必要であることがわかってきて済るが,その詳細は明らかでない.そのため,海外派遣者に必要な要因をさらに定性的・定量的に分析し,海外派遣に関わる人的資源管理を有効に行うことが最重要課題となっている.本研究は,海外派遣駐在社員と現地スタッフに対してアンケート調査を行い,そのアンケート結果に基づいてデータベースを作成し,これを用いて海外派遣社員の効率的な選抜や育成を可能にする適性評価システムについて検討した.システム構築においては分類問題解決手法に基づき評価基準に決定木手法を用いた.決定木の非終端子部分の作成には,適性度と直接的な相関性をもつ資質・能力を見出すために,データマイニングの強力な手法である相関ルールの考えを取り入れた新しい手法を提案した.適性度が格納される終端子部分については,全終端子を一連の線形構造を構成する個体とみなして,遺伝的アルゴリズムで最適化することを試みた.その結果,次のような知見が得られた.前回の決定木の作成で情報エントロピーを用いてクラスタリングにしていたものに比較して.本手法である相関ルールを用いて決定木を作成するほうが,適性度・成果と結び付きが強い重要な項目を見出すことができ,分類精度の高い決定木を作成することができた.また終端子に「本人の自己申告である達成度」のデータでは両手法に大きな差は見られないが,「ローカルスタッフによる評価」のデータでは情報エントロピーと相関ルールでは確かな差が見られ,「他者との比較」のデータでは情報エントロピーよりも適応度が大幅に良くなっている.差の大小はあるが,すべてのデータで情報エントロピーよりも相関ルールのほうが適応度が良くなっていることから,従来手法より本手法のほうがより分類精度が高い手法であると思われた.また適性評価ツールを実装し,派遣駐在員として必要とされる資質・能力,そしてシステム構築に関する有益な知見を得た.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
システム構築において,本年度に相関ルールを用いてクラスタリングを行うことによって決定木の作成を試みた。この作成方法によってより精度の高い分類木を実現することができ,評価ツールとしてより精度の高い判定を行うことが可能となった.このことにより,本システムの有効性が飛躍的に向上し,実務レベルで使用しうるものとなった.このことは特筆すべきであると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
本システムは,モニターアンケートを考慮して出力画面のレイアウトを見やすくするなどの改良を行い,実用化に向けて最終調整をして,実務での活用のために提供していく予定である.また,システム向上のためにデータを採取する地域の拡大が必要だと思われる.今までは,海外派遣の対象地域を中国,インド,ASEANとした.したがってその分析結果や作成したシステムもその地域への適応性を調査することに特化したものとなっている.今後は調査対象地域をアジア方面のみならず,ヨーロッパやアメリカなどに拡大することで本システムの汎用性を高めるとともにより高い実務レベルでの活用を実現させることを検討している.
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Research Products
(3 results)