2011 Fiscal Year Annual Research Report
オープンイノベーション時代の組織デザインと企業パフォーマンス
Project/Area Number |
22530369
|
Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
澤田 直宏 青山学院大学, 国際マネジメント研究科, 准教授 (00457847)
|
Keywords | オープンイノベーション / 戦略的提携 / 垂直統合 / 条件適合理論 / 震災リスク / サプライチェーン / アンケート調査 / 実証研究 |
Research Abstract |
本研究は組織の境界の決定要因として重要な変数である全社戦略を明示的に組み入れた仮説に対してアンケートにより統計的に実証分析を行うものである.具体的には,オープン・イノベーションや戦略的提携,M&Aの活用度,垂直統合度の見直しの有無,外部人材の招聘による経営資源の補完の有無などを新たな戦略変数として扱った上で,改めて組織デザイン論の再検討をねらっている. 平成23年度はアンケート調査票の作成および企業への送付,アンケートの回収と記述統計の分析を行った.より具体的には以下のとおりである.2011年7月~8月にかけて東京証券取引所第1部・2部上場2,098社に対してアンケート用紙を送付した.アンケート内容には当初の計画どおり組織の境界(内製・外注)の決定要因に関する質問を盛り込んだ.なお,東北地方太平洋沖地震(通称東日本大震災)の発生とその後の企業のサプライチェーンの混乱を勘案し,大地震への事前の対応策や同震災時に事前の対応策が生かされたかどうか,将来的に組織の境界を決定するに際して震災リスクをどの程度織り込むのかについても追加で質問を行った.これらの質問は比較的発生するリスクが小さいものの,いったん生じると多大なコストが伴う事象に対して企業経営がどの程度影響を受けるのか,対応策が実際に役立つのかについても実証研究を試みようとするものである.このような実証研究は地震や原発災害が生じた日本特有の問題であるものの,世界的に自然災害やテロのリスクが存在するため,実用的な知識を得られる可能性が高いため盛り込むこととした. しかしながら,同アンケートの回収率は震災後の計画停電実施前後に当たったため回答数が127社と少なかった(回収率6%).このため別予算(横浜市立大学指定寄付)を用いて製造業に特化して同じアンケートを2012年2月~3月にかけて再度実施した。同アンケートは計画停電実施に伴う社内の多忙時期を外したため回答数が60社を上回り,回収率も全体で9%,製造業のみでは10%を超えることができた.このため当初の計画通りに研究が進まない場合のコンティンジェンシー・プランは実施せずに済むこととなった. 現在,収集したデータの統計分析を実施しており,平成24年度中の研究発表と論文投稿を実施する方向で作業を進めている.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述のとおりアンケート調査を実施し,上場企業約190社より回答を得た.震災の影響により7月に実施したアンケートについては回収率が6%台と低迷したため,別予算により同じアンケートを2月に実施したところサンプル数を十分に集めることができた.このため研究計画における当初予定のとおりデータ収集を平成23年度中に終えることができた.
|
Strategy for Future Research Activity |
既に十分なサンプルを確保することができたため,残りの作業としては研究発表および研究論文の投稿のみとなる.現在,統計分析および論文執筆を共同研究者を含め実施しているところである.このため研究計画の変更等について特段の予定はない.
|