2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22530370
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
佐々木 隆文 東京理科大学, 経営学部, 准教授 (10453078)
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Keywords | 経営学 / 金融論 / 環境対応 |
Research Abstract |
平成22年度は、購入したCSRデータベースから環境に関連するデータを抽出し,環境関連投資,環境への取り組み具合に関する指標を作成し,これを財務指標データとマッチングさせ、分析用のデータを構築した.予備的考察として,環境問題に関して積極的な企業(同データベースにおける環境評価が高い企業)とそうでない企業との間に環境関連投資,設備投資,研究開発投資,内部資金,財務レバレッジ,トービンのQについて統計的に有意な差があるか否かを記述統計分析により確認したが.単純な比較では明確な傾向は見いだせなかった.この結果は,環境への取り組みの中には,企業パフォーマンスを高めるものとそうでないもの,業態により環境と企業パフォーマンスとの関係が異なってくる可能性を示唆している. この結果は,企業の環境への取り組みを種別毎に詳細に見ることの重要性に加え,業種などの企業属性が環境への取り組みと企業パフォーマンスとの関係に及ぼす影響を考慮することの必要性を示唆しており、今後はこれらの点について検証を進める. また,当該年度には,環境と企業パフォーマンスとの関係に関する先行研究のサーベイも進めた.先行研究では統一した傾向は見られないものの,適切なコントロール変数を含まない推計において,環境への取り組みの効果に下方バイアスが生じる可能性が示唆されている.この点も今後の分析に反映していく予定である.
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