2011 Fiscal Year Annual Research Report
市場情報の時間的遅れがサプライチェーン全体および上流側に与える影響
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22530372
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
細田 高道 青山学院大学, 国際マネジメント研究科, 准教授 (50570123)
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Keywords | サプライチェーン / 情報共有 / 情報の遅れ / 数理モデル / 在庫 / ロジスティクス |
Research Abstract |
1年目の成果をベースに英文論文を出版した。 Hosoda,T.and Disney,S.M.(2012)"On the replenishment policy when the market demand information is lagged",International Journal of Production Economics 135(1)_458-467. この論文は、1年目に開発した2つの成果、新しい発注方法(著者二人の名前からHDポリシーとした)と新しいコスト関数を活用し、工場とディストリビューターから構成されるサプライチェーンにおいて情報の遅れがどのような影響をもたらすかについて数理モデルを使い検討している。結論として、市場情報の時間的遅れはサプライチェーンのコストに必ずしも悪影響をおよぼさないことを示した。 さらに、この論文をもとにカスタマー、ディストリビューターそして工場からなる多段階サプライチェーンのモデルを構築し、最上流に位置する工場に対して市場情報の時間的遅れがどのようなインパクトをもたらすかを検討した。この成果をもとに英文論文を書き上げ、すでに下記に示す学術論文誌から2012年8月の出版が決定している。 Hosoda,T.and Disney,S.M.(2012)"A delayed demand supply chain:Incentives for upstream players",OMEGA:The International Journal of Management Science 40(4):478-487. 市場情報の時間的遅れの解消は、工場にとって常に利益をもたらすわけではなく、場合によってはコスト上昇をもたらすことを示した。よって、工場にとって市場情報の時間的遅れを解消することに積極的な理由が常にあるわけではない、と結論づけた。 以上の2つの論文の成果は、ITに多額の投資したのに思ったほど成果が上がっていない現状を説明する一つの成果であると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
モデルの複雑さに起因する困難を、多くの努力により予想よりも早期に解決することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
モデルを高度化し、より現実に近い(つまり、モデル的にはより複雑な)ものにする予定である。具体的には、複数のカスタマーを想定し、その一部だけ情報が遅れている場合や、需要モデルを従来のARタイプからARMAタイプにすることを想定している。研究遂行については引き続き英国のディズニー教授からの協力を得ながら進める。
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