2010 Fiscal Year Annual Research Report
宗教・文化混合地域における企業経営―イスラーム圏とヒンドゥー圏の比較研究を通して
Project/Area Number |
22530381
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
阿部 克彦 神奈川大学, 経営学部, 准教授 (40316906)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小島 大徳 神奈川大学, 経営学部, 准教授 (70386803)
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Keywords | アラブ首長国連邦(ドバイ) / 商慣行・会社法制度 / トップマネジメント / 企業経営機構 |
Research Abstract |
本研究では、「宗教・文化混合地域における企業経営-イスラーム圏とヒンドゥー圏の比較研究を通して-」を検討する。そのために、イスラーム圏とヒンドゥー圏における宗教・文化に基づいた(1)商慣行・会社法制度と、(2)トップマネジメントと企業経営機構、(3)企業経営の融合の3つを深く考察する。つぎに、本研究の学術的な特色・独創的な点は、今日まで、このような研究は、日本国内だけではなく、日本国外でも行われておらず、実際に、「イスラーム金融」や「インド経済」に関する文献は多少存在するものの、宗教・文化と企業経営を行っている研究は、非常に少ない。しかも、経営学領域に宗教や文化を取り入れた研究および融合問題を取り扱っている研究は皆無に等しく、本研究は、独創的であり、新規性や革新性を備えているといえよう。 平成22年度の当初の計画は、アラブ首長国連邦(ドバイ)の(1)宗教・文化に基づいた商慣行・会社法制度と、(2)トップマネジメントと企業経営機構を調査する、とのことであったが、主に、国内とヨーロッパを中心に、調査・資料収集を行った。その中で、多くの資料を精読し、イスラーム圏における宗教・文化に基づいた企業経営に関する研究を行った。まず、会社法制度に関しては、アラブ首長国連邦の1984年連邦法No.8(事業会社法)によると、設立可能な会社形態として、7つの形態を定めており、これらの中で外国企業の設立形態として適しているものは、Limited Liability Company (LLC、有限責任会社)のみとなる。商慣行に関しては、リバー(利子)の禁止やガサート(喜捨)、イスラーム金融機関などの制限が行われている。つぎに、トップマネジメントと企業経営機構に関しては、主に、ファミリー企業が、経済活動の担い手として圧倒的な存在感を示している。大小様々な同族経営企業が、全企業の8割以上、そして、商取引の9割以上を占めると言われている。
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