2011 Fiscal Year Annual Research Report
フランチャイズ・システムにおける内発的動機付けの機能に関する理論的・実証的研究
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22530383
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Research Institution | Shizuoka University of Art and Culture |
Principal Investigator |
小本 恵照 静岡文化芸術大学, 文化政策学部, 教授 (50554052)
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Keywords | フランチャイズ・システム / 内発的動機づけ / 外発的動機づけ / 公正感 / 共分散構造分析 |
Research Abstract |
本年度は、フランチャイズ・システムにおける加盟店の店長の内発的動機づけに影響を与えると考えられる公正感に焦点を当てた分析を行った。具体的には、フランチャイザーと加盟店が良好な関係を構築し業績を向上させる上で、内発的動機づけが公正感と業績との間に介在する媒介変数になるという仮説構築を行い、仮説を検証するための質問票調査を実施した。 まず、文献調査については、質問票による調査を実施する前提として、公正感に関する文献を包括的にサーベイした。そこでは、社会心理学および組織論の分野において、公正理論の研究が極めて盛んに行われていることが明らかとなり、その内容の吸収に努めた。特に、公正感が、分配的公正、手続き的公正、相互作用的公正に区分され、これらの公正感と信頼との関係、公正感と感情との関係に関する数多くの理論的・実証的研究の理解を進めた。 次に、文献調査と理論構築を踏まえ、大手コンビニエンス・ストアの加盟者に対して、郵送による質問票調査を実施した。具体的には、文献調査の結果を踏まえた上で、フランチャイズ加盟者の3種類の公正感、内発的動機づけの水準、信頼感などを計測できる質問票を作成した。続いて、対象企業のホームページ上に掲載されている店舗情報をもとに送付先リストを作成し、2494の調査票を送付した。回収された調査票は200であり、回収率は8.0%であった。回収された調査票の整理を進め、共分散構造分析を実施した結果、次のようなことが判明した。(1)手続き的公正と相互作用的公正は信頼に有意な正の影響を与えている、(2)分配的公正は内発的動機づけに有意な正の影響を与えている、(3)信頼と内発的動機づけはコミットメントに有意な正の影響を与えている、(4)コミットメントはパフォーマンスに有意な正の影響を与えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
フランチャイズ・システムにおける内発的動機づけについて、平成22年度は内発的動機づけと外発的動機づけの関係を分析し、平成23年度は内発的動機づけと公正感の分析を行ったことにより、フランチャイズ・システムにおける内発的動機づけの機能がかなり判明してきたため。
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Strategy for Future Research Activity |
フランチャイズ・システムにおいては、複数店を保有する加盟者と単独店を保有する加盟者が混在し、現在は複数店加盟者が増加している。複数店保有者と単独店保有者については、動機づけの内容ならびにその影響が異なる可能性があるので、平成24年度はこの点が明らかとなるように研究を遂行する。
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