2011 Fiscal Year Annual Research Report
韓国自動車部品調達の構造変化と成果―日本との比較研究―
Project/Area Number |
22530385
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Research Institution | Kyoto Tachibana University |
Principal Investigator |
李 在鎬 京都橘大学, 現代ビジネス学部, 准教授 (40342133)
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Keywords | サプライヤー・システム / 連携 / 進化経路 / 育成 / 自動車部品調達 / 共同利用 / 学習 / 統合的SCM |
Research Abstract |
本研究は、経済危機前後の産業再編を転機として韓国自動車メーカーのSCM(Supply Chain Management)戦略と部品産業が如何に変化してきたかを調査し、日本型進化経路との対比するものである。また、グロバール化や社会・技術パラダイムシフトなどが浮き彫りになりつつある昨今の動向を踏まえ、韓国自動車産業と部品産業の将来の進化経路を予測しようとする。 平成23年度の課題としては、韓国および日本自動車産業および自動車部品産業に関する2次データの収集と蓄積、データベース化、及び体系的分析を主な課題と設定し、その整理・集計を行ってきた。独自のデータベース構築のために、謝金を重点配分し、適切に執行している。 一方、これまでの成果を関連学会で報告し、研究成果を学界および実業界に還元してきた。 第一に、李・平野「企業再生と企業間連携力の同質性と異質性」(学会発表)では、フォード・マツダ(現在は資本提携は解消)と現代・起亜との企業間連携力を比較し、フォード・マツダ側は、組織間学習により正当性を獲得しながら、経営資源の共同利用へ徐々に進むことによって、相乗効果を倍加してきたことに対して、現代・起亜のような同質性の高いパートナーとの間では、組織間学習よりも、経営資源の共同利用(pooling)をテコにして、企業間相乗効果を発揮してきたことを、実地調査結果に基づいて明らかにした。特に、現代自動車と起亜自動車との開発とプラットフォーム共通化、部品共有化は、本研究のテーマである、SCMの再編と直結するものである。 第二に、李「韓国自動車産業における完成車委託生産」(学会発表)では、起亜自動車の軽自動車を受託生産している東煕オートとの取引関係を日本の学会で最初に取り上げ、その取引関係を複眼的に分析した。現代・起亜自動車グループは、南陽研究所で集約的に新車開発を行うため、起亜自動車の委託生産においても、全社的に統合的SCMを行っているということを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第一に、平成23年度の主要な目標であった、独自のデータベース化を達成している点、第二に一部の研究成果は、定評ある学会で研究報告として発表している点から、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
メーカーとサプライヤーとの部品取引の実態把握は、公表されたデータ以外、客観性が担保された有効なものを確保することが困難であり、通信やアンケートによる設問では十分なデータを得ることができなかった。ただし、公表されたデータは一定の時差を帯びて推移するため、新奇性を確保しにくい隘路があった。そこで、メーカーおよびサプライヤーへのフィールドワークを強化し、このような問題に対応していきたい。 一方、研究成果は、これまでは国内中心に発表してきたが、海外学会発表を行い、グローバル的にも普遍性ある知見を見いだすよう、積極的に発信していく。
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