2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22530387
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Research Institution | Hagoromo International University |
Principal Investigator |
田中 雅子 羽衣国際大学, 人間生活学部, 准教授 (80321107)
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Keywords | 理念浸透 / 中間管理者 / 組織文化 / 時系列的視点 / 職場内経験 / 理念浸透のダイナミズム |
Research Abstract |
経営理念の浸透において、経営者あるいは管理者といった、要となる人物が存在することが主張されてきた。しかし、管理者が実際どのような方法で部下に理念を浸透させているのかを、明らかにした研究は見当たらない。また、仮に有効な方法がわかり、全管理者がその方法をとったとしても、効果に違いは出るだろう。その違いを生み出すものは何か。このような問題意識のもと、本研究ではローランドの管理者へのインタビュー調査をベースに、管理者の職場内での経験およびリーダーシップを時系列的に検討することで、個人に理念が浸透し継承されていくダイナミックスと、組織文化が人々を介して理念浸透を促進していく組織のダイナミックスをとおして、それぞれの役割を明らかにすることを目的とした。 事例研究から明らかになったことは(1)部下への対応に影響を及ぼすものは、過去の経験から何を学んだかということであり、そのような学びは、その後の経験に働きかけ理念の理解をも促進する、(2)管理者が採用している理念浸透の方法は、コミュニケーションの強化と仕組みづくりである、(3)理念から組織文化が形成される場合は意図的・規範的であるのに対し、組織文化が理念浸透を後押しする場合は、自発的であり成員の想いがもとになるという3点である。このように本研究の意義は、個人と組織、双方に時系列的な視点を持ち込んで理念浸透を検討したことを挙げることができる。これは先行研究にはない試みである。また、そのなかで、「経験の重要性(個人の質的変化)」や「管理者がとっている理念浸透の方法」を、具体的に明らかにできたことは、本稿の貢献といえるだろう。 しかし、一社の事例だけをもとに議論を展開したことは反省点であるため、それを踏まえ、2010年度は堀場製作所の管理者3名、および堀場製作所の社長、伊那食品工業の会長に、追加的インタビュー調査を行った。今後は、これらのデータも検討材料に加え、理念浸透における管理者と経営者の役割を、より深化、精緻化させていきたい。
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Research Products
(2 results)