2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22530387
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Research Institution | Hagoromo International University |
Principal Investigator |
田中 雅子 羽衣国際大学, 人間生活学部, 准教授 (80321107)
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Keywords | 理念浸透 / 中間管理者 / 強い文化モデル / 観察学習モデル / 意味生成モデル / 経験の重要性 / 具体化と精緻化 |
Research Abstract |
本研究の目的は、一企業の経営者、中間管理職、一般従業員といった各層へのインタビュー調査を行うことにより、組織に理念が浸透していくプロセスを、「内面化」「定着化」双方の視点から、総合的・体系的に明らかにしていくことである。 22年度の研究では、ローランドの管理者へのインタビュー調査をベースに、個人と組織、双方に時系列的な視点を持ち込んで理念浸透を検討した。しかし、一社の事例だけをもとに議論を展開したことは不足点であった。 そこで、23年度は、22年度に実施した堀場製作所の管理者3名のデータを分析し、それらを総合的に検討した。特に念頭に置いた点は、22年度の研究を深化させることであり、「内面化」に関する金井らの先駆的な研究に依拠しながら、彼らの成果を前進させつつ、管理者レベルにおける理念浸透の具体化と精緻化を図ることを試みた。 その結果、「強い文化モデル」は、限定的な効果をいかに生かすかが課題であること、「観察学習モデル」は、観察者の年齢・立場・状況を拡大することによって、見過ごされてきたものを救い上げることができそうであること、「意味生成モデル」は、経験の重要性に着目し、年齢を1つの軸に、どのような事柄が意味生成をもたらすのかを検討することが必要であるという、新たな視角を提示することができた。 つまり、これらから、個人が理念を理解するプロセスには、中心的な役割を果たす事柄と、側面的な事柄があることを明示することができたと換言できる。とりわけ成員個人を対象とした調査を実施し続けた特質を活かし、個人が質的にいかに向上すれば、理念浸透が進むのか、その「質的変化」や「時間的経緯」を追求できた点は本研究の貢献である。 また、23年度に実施した調査は、堀場製作所の一般従業員4名へのインタビューであり、今後はこれらのデータも分析対象とし、全社的な理念浸透のメカニズムを明らかにしたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究はインタビュー調査から得られたデータを「グラウンデッド・セオリー・アプローチ」に基づいて、分析を行っている。その分析が予定時期に終わらなかったことが、遅れたことの最大の理由である。また、東日本大震災の余波という影響から、予定していた企業の業績が悪化し、取材を受ける環境にないという理由から、実施ができなくなった。その結果、それを元に次に予定していた取材も次年度にずれ込み、調査も遅れる結果となってしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
本来、24年度は完成年度であるため、今までの全データを元に、諸要因を包括する理論枠の構築をめざす予定であった。が、実際は「たねや」のインタビュー調査を8月に残した状態である。そのため、時間が不足する感は否めない。しかしながら、「ローランド」と「堀場製作所」の、経営者・管理者・一般従業員のインタビュー調査はすでに終えているので、それらのデータを元に、8月までに包括概念に近づけるべく、分析および理論構築を行うことで調整を図りたい。
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Research Products
(2 results)