2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22530393
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
金子 秀 埼玉大学, 経済学部, 教授 (20204555)
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Keywords | バイオテクノロジー企業 / 薬効探索 / 資金調達 |
Research Abstract |
本年度は欧州のバイオテクノロジー企業、とりわけ、ユニークな発展を遂げているフランス・バイオテクノロジー企業の生成と発展の論理について文献研究を行った。フランス・バイオテクノロジー企業の代表格であるTransgeneを考察することにより、次のことが明らかとなった。Transgeneは薬効探索を確立し、バリューチェーンの支点であるフェーズIIまでも自社で行い、成功確率を高めることにより、大手製薬企業と提携し、その提携をもとに資本市場からの資金調達を行うという資金の循環が形成されている。このことは、株式市場からの資金調達はバイオテクノロジー企業がコンピタンスを強化した結果として生じるのであって、こうした資金循環が生じるためには、まず、サイエンスを強化し、薬効探索を強固にすることである。このような条件がそろって初めて、資本市場からの資金調達が可能になるのである。こうした点を踏まえて、日本のバイオテクノロジー企業を取り巻く環境についてみると、日本の資本市場ではバイオテクノロジー企業に資金を融資するための仕組みが整備されていないことがバイオテクノロジー企業の発展の桎梏あるいはファイナンス・ギャップとして指摘されている。もちろん、融資の仕組みが重要であることは否定できないが、今後、日本のバイオテクノロジー企業が発展していくためには、融資を受けるための前提として、どのようにして研究の質を高め、薬効探索を高めるようなマネジメントを実施していくのかが課題であるといえよう。
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Research Products
(1 results)