2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22530395
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉澤 剛 京都大学, 人文科学研究所, 特定講師 (10526677)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 由希子 東京大学, 先端科学技術研究センター, 助教 (00361676)
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Keywords | 知識交流 / インターメディアリ / 社会技術 / 資金配分機関 |
Research Abstract |
平成23年度は香港における資金配分機関・NPO支援団体・社会起業家支援団体・社学連携組織の活動実態と中間機関としての機能について調査を行い、国外事例からの知見を蓄積した。国内の中間機関については事例研究として科学技術振興機構社会技術研究開発センター(RISTEX)を対象とし、「犯罪からの子どもの安全」研究開発プログラムや「科学技術と社会の相互作用」研究開発プログラム(平成19~24年度)について、プログラム運営実務者と協力しながら中間機関としてのRISTEXの潜在的・顕在的機能を整理して分析を進めた。 具体的な研究内容として、外部機関との関係性において中間機関の実用的定義を行った。活動の主たる知識生産者である「実施者」、実施者の活動にかかる最も直接的な資金提供者である「スポンサー」、実施者の活動の直接的な受益者・知識利用者である「クライアント」、そして間接的な受益者・知識利用者である「アドレシー」を同定した。そしてそれら外部者との関係性から中間機関を10のタイプに細分し、以下の3つの制度的類型を明らかにした。(1)知識生産主体からも社会的意思決定主体からも組織として独立している。(2)知識の生産主体の内部、あるいは知識生産主体そのものに位置づけられるが、社会的意思決定主体との架橋機関として機能しているもの。大学内の社学連携本部など。(3)社会的意思決定主体の内部、あるいは社会的意思決定主体そのものに位置づけられるが、知識生産主体の架橋機関として機能しているもの。行政機関内の資金配分機関、公益財団など。特に(1)のモデルのような中間機関の中間的機能として、知識移転とは異なった知識交流の概念を確立し、実践的・制度的観点からの区別を行った。また、事例分析より中間機関の評価やマネジメントにおける知見として、システム論的視座および、関与するアクターやそのネットワークの範囲、それぞれの機能、知識の生産段階・プロセスへの着目に関する具体的な示唆を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
中間機関の定義及び類型化の原型は文献レビューやインタビュー等を踏まえた理論的考察により完成された。また、国外の中間機関の実態についても、これまでほとんど知られることのなかった香港の中間機関を調査したことにより、新たな知見が得られた。社会技術研究開発センター(RISTEX)を事例とする研究では論文投稿の段階まで進み、全体の研究へと良い形でフィードバックがなされている。実務家とのワーキング・グループの立ち上げについては遅れているが、24年度前半にその機会を設けることが確定しており、それとは別にアドホックには科学コミュニケーションや社会支援機関等の担当者との知識交流を進めているため、研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
当研究グループと中間機関担当者をメンバーとしたワーキング・グループを立ち上げ、参加、プログラム評価制度や人材養成システム、知的・人的ネットワークの整備などをテーマにした研究会合を開催する。また、経営学・組織論の分野で研究が進んでいるネットワーク組織やコラボレーション組織の実態を中間機関の文脈から再定位するとともに、中間機関のミッションとして重要であると考えられる未来・デザイン志向の機能を精査するため、スウェーデンやフィンランドにおけるフューチャーセンターの実態を調査するとともに担当者へのインタビューを実施する。年度後半からは研究報告書を執筆する作業を本格化させ、研究グループ内の議論を深めながら関係学会への発表、論文投稿を精力的に行う。
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Research Products
(4 results)