2012 Fiscal Year Annual Research Report
技術政策と経営戦略:産官学プロジェクトとイノベーション
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22530400
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
島本 実 一橋大学, 大学院商学研究科, 准教授 (20319180)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 技術政策 / 経営戦略 / プロジェクトマネジメント / イノベーション |
Research Abstract |
平成24年度は機能性化学と経営戦略の関係に焦点を絞り、実際の企業の事例研究を中心にイノベーションを促進する研究プロジェクトの管理方法や組織体制の構築方法について研究を進めた。具体的には、機能性化学品として新型ディスプレイ用の有機EL素材、構造材料・電子材料として有望なエンジニアリングプラスチックであるシンジオタクチック・ポリスチレン(SSP)、バイオテクノロジー応用製品として微生物農薬の三つの技術分野に関する企業の研究開発をケース研究にまとめることができた。 中央研究所と事業部研究所の役割の区分の問題は多くの日本企業において懸案となっている問題であるが、そうした中で基礎研究と開発研究の適切な分業がイノベーションを生み出し、またその事業化を通じた企業の収益性の向上に貢献することが事例研究から明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は主に次世代プロジェクト制度のターゲットであったバイオテクノロジーを対象に、インターフェロンおよびモノクローナル抗体等のバイオ医薬品の研究開発史をたどり、成果を上げることができている。 その成果は次の通りである。 機能性化学(電子材料、エンジニアリングプラスチック)とバイオテクノロジー製品の事例研究は、書籍の一章(橘川・島本他著『出光興産の自己革新』第7章「新機能材料の研究開発」)として出版された(平成24年4月)。 またバイオテクノロジーをめぐる化学・医薬品産業の経営戦略とイノベーションに関する成果は、国際経営学会連合(IFSAMのアイルランド大会(リムリック大学)(平成24年6月)および、ヨーロッパ経営史学会(EBHA)のフランスパリで開催された第16回国際大会(社会科学高等研究院)(平成24年8月)で当該分野の世界からの研究者の前で報告された。 研究は計画通りに進んでおり、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
再生可能エネルギー、バイオテクノロジー、新素材(機能性化学品)は、日本政府が1970年代以降、技術政策の対象としてきたものである。これらの先端技術がどのように開発され、事業化されてきたのかについて、政策と経営の両方の側面から歴史記述を行うというという当初の目標に鑑みて、平成25年度は太陽光発電の歴史を書物にまとめ、またバイオテクノロジーと新素材に関しても、より具体的な事例研究をベースにその開発史をたどる。 また研究の進展によって、イノベーション創発のためには、政府の技術政策のみならず、それを支える企業の研究体制が決定的に重要であることがわかってきたので、中央研究所を中心とする日本企業の研究開発組織に関しての歴史的な変遷をたどることで、本研究テーマへのより深い理解に到達することができる。
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Research Products
(5 results)