2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22530404
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
杉万 俊夫 京都大学, 人間・環境学研究科, 教授 (10135642)
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Keywords | 社会構成主義 / 組織改善 / 言説 / 活動理論 |
Research Abstract |
平成23年度は、(1)職場メンバーの長所に関する言説を新しい企画に結びつけるツール、(2)管理・監督者が、夢の活動(活動ビジョン)を描くツール(夢を言説化するツール)の開発を行った。 (1)については、次のようなツールを開発した----(1)かりに職場に10名のメンバー(a-j)がいる場合、10×10のマトリックス形式の一覧表を作成し、メンバーaの長所を、メンバーb-jが1-2点ずつ上げていき、それらを一覧表に書き込んでいく(1列目が埋まる);次に、メンバーbの長所を、メンバーa、c-jが上げていき、一覧表に書き込む(2列目が埋まる);これを繰り返し、一覧表(主対角要素以外)を完成する;(2)引き続いて、一覧表の長所を組み合わせて(たとえば、メンバーdの長所とメンバーfの長所)可能になる新しい活動や業務を、全員で議論し考える。病院組織の管理者研修を利用して、事前に各管理者の職場で上記の作業のうち(1)を行っておき、研修会場において、管理者に(2)の作業を行ってもらった。その結果、このツールを使ったことにより、今まで発想もしなかった新しい活動や業務を考えることができたとの感想が寄せられた。 (2)については、次のようなツールを開発した----活動理論(Y.エンゲストローム)の活動構造図を大幅にuser-friendlyにした図を用いて、現在の職場には存在しないが、ぜひ定着させたい「夢の活動」を描いてもらう;次に、その「夢の活動」を、自分が主体となって実現する活動を描き、その実行にとりかかってもらう。以上を、企業・病院組織の管理者研修で実施した。その結果、強制感のない目標管理の手法として高い評価を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記(1)、(2)の平成23年度研究計画をほぼ順調に達成できた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的は、社会構成主義の発想に立って、(1)インフォーマルな言説(居酒屋のセリフ)を収集・分析するツール、(2)良好な職場の「当たり前」をメッセージ化し、他の職場や上層部に発信するツール、(3)職場メンバーの長所に関する言説を新しい企画に結びつけるツール、(4)管理・監督者が、夢の活動(活動ビジョン)を描くツール(夢を言説化するツール)を開発することであったが、平成24年度(最終年度)には、(4)の研究をさらに充実させるとともに、4つのツールに関する理論的考察を行う。
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