2011 Fiscal Year Annual Research Report
サービス分野の事業創出法 - 製造業におけるイノベーションの応用展開
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22530405
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
前川 佳一 京都大学, 経営管理研究部, 准教授 (30511290)
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Keywords | サービス / イノベーション / 事業創出 / 製造業 / 研究開発 |
Research Abstract |
研究の目的は、製造業におけるイノベーションを調査し、それを応用展開することでサービス分野の事業創出を目指すことである。そのために、まず現代製造業でのイノベーション最新事例を調査し、次いでサービス分野の研究開発の事例を収集・分析し、製造業の研究開発との対比においてサービス研究開発の現在地を確認して、サービス分野における試作の位置づけなどの方向性を展望する。 昨年度までの本研究の成果、とくに製造業の研究開発に関するのものには、以下のようなものがある。 1.米国などでは役割を終えたとされる企業内中央研究所が、日本では組織目標に工夫を凝らすなどして事業に貢献し続けている(前川ら「電機メーカにおける研究開発戦略の変遷事例一企業内研究所の存在意義を考える」平成22年9月・日本経営学会第84回全国大会) 2.CTO(Chief Technology Officer)の役割は、時代に応じて、ワンマン型~合議型~アドバイザー型へと変遷している(同上) 3.技術情報の伝達は、その情報に合理性さえあれば可能となるわけではなく、発信者と受信者の間で、次のどれかが共有されてるか成立していなければならない。共通の文化、共通の目標、師弟関係(前川「知の伝達の成否」平成23年3月・日本ナレッジマネジメント学会研究年報第10号) 4.研究所から事業部への技術移管のフェーズにおいて、若手エンジニアを転出させながら、リーダー格を研究所に残すことで、事業化にまつわる諸問題を解決している例がある(前川ら「技術転換期における人事異動に関する一考察」平成23年3月・日本経営学会九州部会)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定では、1年目:製造業、2年目:製造業からサービス業へと転換した企業、3年目:サービス業をそれぞれ取材したのちに、目的に沿った結果をまとめる予定であった。しかし、製造業での知見が予想以上に広くかつ深く得られつつあったことと、製造業からサービス業への転換企業の実例がほとんどないことなどから、2年目も製造業の調査分析を充実させる方針とした。このことによる、3年目の計画遂行について遅れを出すことはなく、また全体のまとめの方針などに変更が必要となるわけでもない。全体に、おおむね順調に進展し、今年度末に計画に沿った結論を得られる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究計画の一つは、サービス産業には特有の研究開発の経験則が生きているのかどうかの調査となる。対象企業はこれまでに関係を築いてきた旅館業、商店街連合の連合、老舗製造小売り、地方自治体などである。この部分を本年度前半の計画とする。 本年度後半すなわち本研究全体の総括の部分では、上のような製造業の研究開発での命題をサービス産業の研究開発へ転用するには、という提言をまとめる。具体的には上で述べたサービス業それぞれに適合的な方法を提案することを目指す。
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Research Products
(6 results)