2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22530408
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
伊藤 宗彦 神戸大学, 経済経営研究所, 教授 (90362798)
|
Keywords | 製造業 / サービス業 / ビジネスモデル / イノベーション / ICTサービス |
Research Abstract |
日本の成長のエンジンとなってきた製造業に関しては、近年では、MOT(Management of Technology)と呼ばれる技術経営への関心が高まり、専門職大学院の設立、MBAでのカリキュラムの導入が進み、また、多くの企業でも社員教育として全社で取り組む企業も増えてきた。一方、サービス産業では、こうした産官学による人材育成事業は、あまり取り組まれてこなかった。その理由の一つは、イノベーションという産業発展のためにもっとも重要な要素への取り組みの違いだと思われる。多くのイノベーション研究は、主に技術・製品開発段階において、どのようにマネジメントされるべきなのか、そのための組織構造がどのように設計されるのか、そのインパクトの大きさはどのように測定されるのだろうかという、新たな価値創造と価値獲得のためのマネジメントの課題としても多くの研究者によって、取り組まれてきた。一方、サービス産業ではどうであろうか。サービスは人的な要素が強く、日常的に体験できる汎用的である。しかしながら、製造業におけるモノに対して、サービス業でのサービスは、在庫をすることできないことを意味する無形性、お客と対面するほんの一瞬しか満足を与える機会がないという即時姓、時間や場所によって内容を変えなけれぱならない異質性などといった、サービス特有の性質が存在し、従来のMOT教育では捉えきれない側面を持っている。製造業では、イノベーションは技術・製品開発といった手に触れることのできるモノに対して考えることができたが、サービスは人的な要素が強いため、そのイノベーションの矛先は製造業とは異なる。かといって、サービス業では、ある意味、製造業以上にイノベーションが重要となる。サービスのイノベーションは、技術・製品開発だけではなく、原材料から加工されて製品に仕上げられて、流通を経て店頭に並び、それが消費者の手に渡り消費されるまでの長いバリューチェーン全体がイノベーションの対象となる。言い方を換えると、サプライ・チェーンとディマンド・チェーン全体をいかに設計するかという極めて広く、長い範囲がその対象となる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
サービスについては現在、非常に着目されている分野であり産学共同の調査はしやすいが、既存研究は乏しく、研究蓄積はほとんど無い状態である。しかしながら、計画通り、企業への調査は進めており、当初の予定い通り結論を導くことができる状況である。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究では、製造業によるものとサービスによる新たなビジネスモデルの本質を明確に示すことを研究目的にしている。そのために、製造現場から顧客が使用し、満足度を得るまでの長いサプライ・チェーンを研究対象にしている。調査対象企業吸うだけではなく、その企業の部門ごとの調査も必要であり、当初の予定よりも企業ごとの調査の時間が増えてしまっている。
|