2010 Fiscal Year Annual Research Report
サプライチェーンにおける環境配慮と品質管理に関する実証研究
Project/Area Number |
22530409
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
島田 智明 神戸大学, 経営学研究科, 准教授 (40410229)
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Keywords | 持続可能 / サプライチェーン / 環境配慮 / 品質管理 |
Research Abstract |
本研究の目的は、持続可能なサプライチェーンの構築に向けて、環境配慮と品質管理の二つの側面から分析を行うことであり、平成22年度においては、当初の計画通り、前者に関して小売業における環境経営、また、後者に関して製造業における品質問題事前対策に焦点を当て、それぞれアンケート調査を実施した。前者に関して、消費者が小売店の環境活動を高く評価している、あるいは、精通しているだけでは不十分で、消費者自身が実際にその活動に参加している場合においてのみ、その小売店における月額購買金額が向上することが示された。後者に関して、品質問題事前対策としてISO9001品質マネジメントシステムの導入を考え、経営者の観点から、参加型目標管理がシステム導入の成功につながることを示した。現在、前者に関しては、査読論文として投稿中であり、後者に関しては論文執筆中である。さらに、当初の課題に加え、持続可能なサプライチェーンの延長として医薬品業界についても分析を進め、製薬企業の社会的活動の意義およびグローバル化の必要性についても研究を行った。製薬企業の社会的活動の意義に関しては、製薬企業が行うCSR活動が医師の医療用医薬品の選定にあまり影響を与えないことを示した。また、製薬企業のグローバル化に関しては、医薬品のジェネリック化とつなげ、新興国勢力に対抗して日本の大手製薬企業が持続可能であるためには、グローバル化とジェネリック化の両方を念頭に置き、自社の戦略的ポジショニングを描く必要があることを示した。前者に関しては、「医療と社会」という査読付き論文誌における掲載が確定しており、後者に関しては、「経済セミナー」という査読付きではないが、経済学において権威のある雑誌に掲載された。
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