2011 Fiscal Year Annual Research Report
サプライチェーンにおける環境配慮と品質管理に関する実証研究
Project/Area Number |
22530409
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
島田 智明 神戸大学, 経営学研究科, 准教授 (40410229)
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Keywords | 持続可能 / サプライチェーン / 環境配慮 / 品質管理 / 企業の社会的責任 |
Research Abstract |
本研究の目的は、持続可能なサプライチェーンの構築に向けて、環境配慮と品質管理の二つの側面から分析を行うことであり、平成23年度においては、当初の計画通り、前者に関して製造業における環境経営、また、後者に関して製造業における品質問題事後対策に焦点を当て、それぞれアンケート調査を実施した。前者に関して、企業が顧客である製造業において、顧客と直接接することのない製造部門や開発部門を対象にアンケート調査を行った結果、各製品におけるリサイクル活動が短期的には利益を産み出しにくいが、長期的には利益を生み出す可能性が示された。後者に関して、製造業において、顧客と直接接する営業部門と接しない製造部門を対象にアンケート調査を行った結果、製品品質問題発生時の対応について意見が異なることが示された。現在、前者についても後者についても英語論文を執筆中であるが、前年度および今年度のアンケート調査を通して得た経験を基に、研究方法論に関する論文を3つのフェーズに分けて執筆した。さらに、当初の課題に加え、持続可能なサプライチェーンの延長として、マテリアルフロー会計、そして、製薬企業の社会的活動の意義についても研究を進めた。また、持続可能な社会を形成するCSR活動を議論するために、社会イノベーションをテーマとしたワークショップを開催し、異なる立場の人々を招いてパネルディスカッションを行った。行政から広島県知事、企業から戦略系コンサルティングの日本代表、報道からフリーアナウンサー、NPO法人の日本代表、社会経験の豊富な学術研究者を招き、その模様は新聞に掲載された。社会イノベーションを起こすために、NPO法人が問題提起をし、声なき声を報道が客観的に伝え、それを企業や学術研究者が支援し、行政を動かすという連携の必要性について有意義な議論ができ、現在、その内容を論文として執筆中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成22年度および平成23年度に計画していたアンケート調査によるデータ収集に関して、企業が不況を理由に調査協力を拒むなどの困難を経験したが、結果的にはおおむね完了させることができた。したがって、研究プロジェクトはおおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
データ収集がおおむね完了したので、今後は論文執筆あるいは論文改訂に重点をおいていく。英語論文に関して、経営学では、説得力のある文章が英語で表現されていることが採択の必要条件であり、英語論文の執筆経験が豊富なシンガポール人を共著者に入れることによってそれを克服している。論文執筆において、共著者と顔を合わせて議論しながら進めることが最も有効な手段であり、また、どのような英語文献も即座に入手できることが効率的であるので、神戸大学だけでなく、シンガポール国立大学も論文執筆の拠点とする。
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