2011 Fiscal Year Annual Research Report
中国における国営企業と私営企業のコーポレートガバナンスの比較研究
Project/Area Number |
22530431
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Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
大平 浩二 明治学院大学, 経済学部, 教授 (20152241)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 成紀 明治学院大学, 経済学部, 教授 (90225954)
西原 博之 明治学院大学, 経済学部, 教授 (80318667)
董 光哲 江戸川大学, 社会学部, 准教授 (50440178)
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Keywords | 私営企業 / コーポレートガバナンス / 国有企業改革 / 取締役会 / ステークホルダー / CSR / 株主 / コンプライアンス |
Research Abstract |
中国は、1990年代より、社会主義市場経済の建設を目指して、近代企業制度(その重点は国有企業の改革、すなわちその株式会社化)の確立を開始した。その中でも、近代化に伴う問題として、会社資産の不正流用、粉飾決算、虚偽情報の開示、インサイダー取引などの不祥事が挙げられる。本調査においては、後者の課題、すなわち、ガバナンスの現状を把握し、その課題を明らかにすることである。表面的な制度は作りつつあるものの、中国特有の「関係」に基づく人脈経営などは、把握が困難な側面もあり、実質的なガバナンスは不明なままに残されているように思われた。 その理由としては、①中国においては、社長(総経理ないし董事長)の権限が強いこと。②当時の現行法では、社長の業務執行が適切であるかどうかを取締役会が監視・監督する規定がなかったこと。③独立取締役の機能の問題。2001年8月に「上場会社における独立取締役制度の確立に関する指導意見」が出され、上場会社においては独立取締役の設置が義務付けられたが、どこまで機能しているかが不明なこと。なおわれわれは、2010年の2社に続き、下記2社の訪問調査を行った。(1)国民淀粉工(上海)有限公司(2)聚信国租有限公司ある。インタビュー内容は昨年度同様の下記の点である。「①会社の株主比率(上位10人ほど)②総経理に選ばれたプロセス。③企業経営の目的(存在意味)④企業利益の分配について(割合)a株式配当b設備投資c従業員(人件費)d役員報酬e研究・技術開発fその他⑤ステークホルダーに対する重要度について(順位)a株主b従業員c取引先d顧客e国会f社会⑥経済体制⑦監事会の監事選任のプロセス。」ただ、時間や先方の担当者の都合の関係で、十分なものとなっていないので、さらに今後再調査を行いたいと思っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に進展している。 ①中国においては、社長(総経理ないし董事長)の権限が強いこと。②当時の現行法では、社長の業務執行が適切であるかどうかを取締役会が監視・監督する規定がなかったこと。③独立取締役の機能の問題。2001年8月に「上場会社における独立取締役制度の確立に関する指導意見」が出され、上場会社においては独立取締役の設置が義務付けられたが、どこまで機能しているかが不明なこと。なおわれわれは、2010年の2社に続き、下記2社の訪問調査を行った。(1)国民淀粉工(上海)有限公司(2)聚信国租有限公司ある。インタビュー内容は昨年度同様の下記の点である。「①会社の株主比率(上位10人ほど)②総経理に選ばれたプロセス。③企業経営の目的(存在意味)④企業利益の分配について(割合)a株式配当b設備投資c従業員(人件費)d役員報酬e研究・技術開発fその他⑤ステークホルダーに対する重要度について(順位)a株主b従業員c取引先d顧客e国会f社会⑥経済体制⑦監事会の監事選任のプロセス。」 ただ、時間や先方の担当者の都合、並びにわれわれ外部の研究者によるガバナンスという微妙な関係状況に関する調査の難しさの存在が少なくないことを実感している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの調査で考えられることは、中国のガバナンスは制度上(見掛け上)は欧米のガバナンス様式が取り入れられているが、個々の経営者や役員達がどこまでそれの趣旨を理解して経営を行っているのかについての経営者意識の面で更に調査が必要であることが解ってきた。予算面やガバナンスという微妙な問題に関する調査ゆえに様々な制約もあり、これから更なる中期的研究計画として考えるべきものではあるが、より多くの企業や経営者への調査、さらにはより深い次元での調査ができれば興味ある成果が出るであろう。 中国における関係者との調整が今後の大きな課題である。
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