2011 Fiscal Year Annual Research Report
技術シーズからその用途を開発する方法とその理論的研究-イノベーションの研究
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22530433
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
黒須 誠治 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (20111221)
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Keywords | シーズ / ニーズ / できる展開法 / システム / 設計方法 / 発見 / 創造 / 技術 |
Research Abstract |
23年度は、「ニーズとシーズとの関係について研究を深めること」を目標にした。ニーズとシーズとの関係について考える前に、両者はどのような形式で表現されるのかを考察した。ニーズとは、"ユーザーが何となく思っている必要性"ということでは、この議論はできないと思われる。もっと明確な表現にする必要がある。それは、ニーズを言語で表現することである。しかも機能的な言語で表現することである。たとえば、"手袋"というニーズを考えてみよう。"手袋"は言語で表現されている。そして、"手袋"は寒い時期には人々から必要とされる。その意味でニーズではある。しかし、イノベーションを視野においたニーズとは言い難い。なぜなら普通の手袋なら、至る所にあるからである。新製品としての手袋のニーズはどのようなものか。それにはまず"手袋のようなもの"と表現する必要がある。そしてさらに、たとえば"嵌めていてもまったく嵌めている感覚を意識させない、手を保温する"道具というように表現すると、まだ存在していない、新たに開発されるべきニーズであるように思われる。これで、ニーズを議論できるような表現ができた。ところでこのニーズは、上述したように"まだ存在していない、新たに開発されるべきニーズ"である。ということは新たに"嵌めていてもまったく嵌めている感覚を意識させない、手を保温する道具"を作る必要がある。もしこの道具が実現できたとすると、これは一つの技術となる、そしてこの技術はシーズとなるであろう。つまり、この道具ができれば、"嵌めていてもまったく嵌めている感覚を意識させない、手を保温する道具"というシーズを形成することになる。そしてこのシーズからまた新たにニーズが発想されうるだろう。たとえば、"寒いときでも寒さを感じずに、通常と同じ種々の手作業ができる"道具だ。この表現は、シーズをできる展開した結果に等しい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
23年度は、「ニーズとシーズとの開係について研究を深めること」を目標にした。この考察は予想以上に明確な解答として得られたと考える。一方、もう一つの目標である「用途がどのようなプロセスで発想されるか、そのメカニズムを論理的に分析すること」については、十分な成果をあげられなかった。少なくとも論文の形式で解答を信るところまではいかなかった。両者を平均すると、(2)ということになる。
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Strategy for Future Research Activity |
「用途がどのようなプロセスで発想されるか、そのメカニズムを論理的に分析すること」については、23年度は十分な成果をあげられなかった。来年度はこのテーマについて重点的に研究を進める。その一つのアプローチは五感を使うことであろうと思われる。たとえば目の感覚でシーズの形状を眺めていると、"何かに使える"ことがわかってくる可能性が出てくる。もう一つは言語に関するレトリックである。ある言語から別の言語を連想することによって用途が見えてくることもありうる。このようなことを例を考えながら、考察していく。
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Research Products
(2 results)