2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22530434
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
藤田 誠 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (00199340)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
花岡 幹明 豊橋創造大学, 情報ビジネス学部, 准教授 (70340370)
久保 亮一 京都産業大学, 経営学部, 准教授 (80339754)
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Keywords | 産業クラスター / 組織能力 / バイオ・インダストリー / ネットワーク / 知識創造・知識移転 / クリーク / サブネットワーキング |
Research Abstract |
本研究は、バイオクラスターを事例として取り上げ、産業クラスター発展に寄与する要因を理論的・実践的に解明することを目的としている。 本年度は、東海地方のクラスターを2011年8月と2012年3月の2回訪問し,第3セクター、財団、企業、クラスター・マネジャーに聞取り調査を実施した。そこで得られた知見をまとめると、以下のとおりである。 1.政府などの財政支援は、クラスターの事業立ち上げの呼び水になる。 2.しかし、そうした財政支援だけに依存しては、事業は継続しない。 3.事業を継続させるには、支援組織の形成が有効である。また、具体的な事業実施には、支援組織とは別に、推進組織を形成することが有効である。 4.支援組織、推進組織の活動を行うには、人的ネットワークが不可欠である。また、こうした人的ネットワーク形成には、商工会議所のような伝統的経済組織の機能が欠かせない。 5,事業を軌道に乗せるためには、中核的な人物の存在が欠かせない。こうした中核的人物間の人的つながりも、事業の立ち上げ・継続・発展にとって、重要な要因である。 他方、理論的な見地からいえば、ネットワーク、知識移転・創造、組織能力などの既存概念で、産業クラスターはかなりの程度説明可能であること判明してきた。しかし、クラスター独特の要因もあり、それを今後抽出することが理論的課題である。これまでのところ、ネットワーク内での濃密な人間関係を意味する「クリークの形成を意味する「サブネットワーキング」という概念が、有力な理論的概念として想定される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者が学部行政職に就任した関係で、聞き取り調査実施に関しては、若干の遅れがあることは否めない。しかし、これまでに2回聞き取り調査を実施する過程で、従来の研究では明らかにされていなった側面も解明されつつある。また、理論的な問題点に関しても、いくつかのポイントが明らかになっている。以上のような理由で、おおむね順調に進展していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には、これまでの計画に沿って研究を推進する予定である。ただし、従来は漠然と「バイオクラスター産業」を調査対象としていたが、平成24年度は、バイオクラスターのなかでも「食農クラスター」に焦点を当てて、調査を実施する可能性がたかい。その他の事項に関しては、大きな研究計画の変更はない。
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