2010 Fiscal Year Annual Research Report
日本の若年層における海外旅行阻害要因:その構造と認知変化
Project/Area Number |
22530454
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Research Institution | Keiai University |
Principal Investigator |
中村 哲 敬愛大学, 経営学部, 准教授 (40348355)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 幸子 同志社大学, 商学部, 講師 (30454482)
高井 典子 文教大学, 国際学部, 准教授 (90540435)
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Keywords | 観光行動 / 阻害要因 / 海外旅行 / 若年層 / 自己効力感(self-efficacy) / すり合わせ(negotiation) / 質的調査 |
Research Abstract |
本研究の目的は,2000年代以降に指摘されるようになった"若者の海外旅行離れ"現象を踏まえ,日本の若者による海外旅行への参加・不参加の意思決定を説明するための観光行動の理論を提起することにある. 本年度の前半は,旅行ならびにレジャーの阻害要因に関する英語論文を精査した.阻害要因を構成する要素だけではなく,人々が阻害要因をどのように認知しているのか,またそれをいかに軽減させ,旅行やレジャーへの参加につなげているのかという点に着目をして検討を重ねた上で,「海外旅行への参加レベルに関する動態的循環モデル」を構築した.このモデルは,一度海外旅行に「参加」し満足感を得る「経験」をした個人は,海外旅行に対する「自己効力感」が高まり,それが海外旅行への「動機づけ」と「阻害要因」の認知,「阻害要因すりあわせの努力」の程度に影響を及ぼし,将来の海外旅行の「参加」につながるという循環性を表現するものである.このモデルは,海外旅行の「阻害要因」の構造を提示するだけではなく,人々の「阻害要因」の認知変化に影響を及ぼしうる要因を提示し,海外旅行への参加レベルを高めるための有効な方策を示唆しようとするところに特色がある. 後半は,質的調査(デプス・インタビコー)を実施した.この狙いとしては,第1に,日本の若者の海外旅行行動の説明に際して,上記のモデルを適用することができるのかを確認することである.第2に,今後の量的調査の実施を視野に入れ,各構成概念を測定する尺度に含めるべき項目を探ることである.本年度は調査を5回実施し,次年度も継続していく.
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