2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22530470
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
二宮 麻里 福岡大学, 商学部, 講師 (40320270)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 流通システム / 酒類流通 / 産業発展 / 市場開拓 |
Research Abstract |
本年度は、日本における酒造業の流通システムについて、江戸期から昭和初期という長期間の変遷を概観した。本研究の目的は酒類産業における生産者と商業者との取引関係を歴史的に国際間で比較することにあり、前年度のボルドーワインの流通との比較が可能となるよう、取引形態、決済条件、卸売業の金融機能という同一分析視角から分析した。 江戸期から明治前期まで、酒類流通は問屋主導型であったが、生産者が徐々に主導権をもつにいたった。生産者の問屋優位の流通システムからの脱却は、未開であった地方市場の開拓、直接流通の開始など、新たな販売戦略を実施し可能となった。問屋主導型のままでは、生産者商標を市場で確立できず、販売リスクと販売費用を生産者が負担して新たな販売戦略の実施に踏み込まざるをえなかったという側面があった。ボルドーワインの流通システムが生産者ブランドを尊重する形で流通システムを変更したという点とは対照的であった。 他方で、明治後期以降、酒類流通を専業とせず、組合にも所属しないアウトサイダーの新興問屋が、瓶詰清酒を取扱い、急成長をとげた。こうした新興問屋は、従来の樽詰清の販売ルートとは異なる販路の開拓に成功した。醤油や洋酒などと瓶詰清酒の販売を組み合わせ、地方市場を開拓した。ただし、特定商品を「囮」として販売する販売手法をとり、さらなる価格競争の激化=「乱売」を招来した。酒類産業は、乱売の制御に向けてさまざまな取組を展開する。以降の展開については、今後の研究で分析する予定である。 今年度、酒類流通は、必ずしも酒類産業のみの枠組みから分析することができないことが明らかになった。商業者は、既存産業の枠組みを再編するような行動をとる。それこそが流通システムのダイナミズムだと考える。産業発展と市場開拓、商業者の果たす役割について今後も検討を続けたい。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(3 results)