2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22530473
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高田 敏文 東北大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (40125787)
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Keywords | 監査リスク / 虚偽表示リスク / 固有リスク / 統制リスク / 不確実性 |
Research Abstract |
本研究の目的は,(1)監査基準で規定されているリスク・アプローチを理論的・実証的に解明すること,(2)解明した理論枠組みに基づいたリスク評価モデルをコンピュータ・システムとして開発することである。監査人に評価することが求められているリスクは,主観的に評価されることが多い。主観的なリスク評価は,評価結果の信頼性が社会的に問われたときには,多くの人々を納得させる根拠たりえない。リスク評価を客観化するには,ブラックボックスとなっていたリスク評価にかかる職業的な評価枠組みを理論的・実証的に解明し,多くの人々にその枠組みを活用できるようにすることが必要であり,本研究の目的は上記2点にある。 重要な虚偽表示リスクRMMは,リスク分析で広く一般化しているリスク概念の一つである「変動性」と対応させることができると考えられる。変動性を確定するためには,RMMがどのような確率分布にしたがうのか,すなわち,確率分布の形状を特定できるのかについて,実証しなければならない。RMMは,固有リスクと統制リスクを内容としており,これらは評価対象の状態に依存する。 研究初年度(平成22年度)においては,固有リスクは監査人にとって所与であることから,監査人が調査する統制リスクの評価について,内部統制報告制度の実態調査を通して,リスク評価要点を推定した。既存研究で用いられているモデルの独立変数に加えて,アンケート調査,市場の反応調査により,資本利益率,在庫回転率,子会社・関連会社の数が重要な指標であることが分かった。
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