2011 Fiscal Year Annual Research Report
自治体における相対的業績評価情報の有用性に関する研究
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22530482
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
松尾 貴巳 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (80316017)
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Keywords | 相対的評価 / 自治体 / 行政評価 |
Research Abstract |
山形市、八尾市、三鷹市、龍ヶ崎市など相対評価情報を活用してきた自治体等へのインタビュー調査を実施し、相対評価情報の活用実態、課題等について整理した。また、欧州の取組み状況について海外研究者へのインタビュー調査を行った。さらに、組織内部において、相対的評価を活用している、伊丹市についても調査を行った。 調査の結果、組織内部における経営管理目的に活用するためには、順位差をもたらす要因分析が最大の課題であり、分析が十分できていない自治体では情報活用もあまり行われていなかった。また、社会的指標以外の指標では、指標の計算の前提が異なっているケースがあり、他の自治体に合せて指標を作成することについての抵抗感は強く、制度化されていない評価システムにおいて追加的作業を伴う指標前提の共通化を図ることは容易でないことが明らかとなった。龍ヶ崎市のように近隣自治体との相対評価は差の要因分析も比較的容易であり、有効性が高いと評価できた。ただし、同市においては、共通化された指標が活用されていたが、担当者個人の関連自治体とのネットワークに依存したものであった。 他方、自治体内における事業間比較においては、定量的な分析の結果、相対比較情報は予算編成に一定活用されているものの、ランキング上位の事業が優先的に予算配分されているとはいえず、意思決定の補足情報としての意味はもつものの、資源配分においては定性的な政策的判断の影響が大きいことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各自治体の取組み状況についてのインタビュー調査は比較的順調であったが、自治体間共通指標開発を実際に試行したいと希望をもつ自治体を見出すことができなかった点が、目標を達成できなかった点である。他方、自治体内における相対評価についての関心は高く、実証研究のためのデータ提供を受けることができたこと、新たに相対評価に取り組みたいと協力を申し出た自治体があった点は当初企図していなかった成果であった。
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Strategy for Future Research Activity |
自治体間比較においては、近隣市比較が比較的有効であること、また、組織内相対評価も比較的有効であると認められることから、次年度においては協力自治体において試行的に導入し、その効果を検証したい。
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