2010 Fiscal Year Annual Research Report
社会的資源配分機能を考慮した日中韓の会計計算構造の研究
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22530484
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
岡田 裕正 長崎大学, 経済学部, 教授 (40201983)
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Keywords | 資産負債アプローチ / 収益費用アプローチ / 貸借対照表 / 株主資本等変動計算書 / 損益計算書 |
Research Abstract |
平成22年度は、現代の会計が持つ二つの利益観における計算構造の研究を行った。 まず、資産負債アプローチの計算構造の技術的側面(社会性を考慮しない側面)を確認し、この計算構造が株主資本等変動計算書にも展開しうることを明らかにした。企業の富を対象とする資産負債アプローチの損益計算の技術的側面は、貸借対照表で計算された損益の原因を損益計算書で説明する関係になっている。しかし、この計算構造を仕訳のレベルで考えると、一方では、資産と負債のそれぞれの増減が把握されるのに対して、他方では、資産と負債の増減の原因が把握される関係となっている。この原因には、損益の原因となる取引と企業所有者との取引(出資や分配)との二つが含まれ、いずれも純資産の増減の原因という点で共通している。この二種類の原因を一括して表示することによって、資産負債アプローチの計算構造は株主資本等変動計算書に展開できることを明らかにした。 次に、資産負債アプローチと対極にある収益費用アプローチの計算構造の技術的側面を明らかにした。企業活動を会計の対象とするこの計算構造においては、企業活動をアウトプットとインプットの過程として捉え、それを収益と費用として表示するものとなっている。しかし、インプットやアウトプットの内容が曖昧であることから、(1)何を収益・費用とするかによって利益の内容が変化する可能性があること、(2)この点と関連して、インプットからアウトプットが生じる過程には、購買過程、製造過程、販売過程など考えられるが、そのいずれかないしはすべてを選択することが可能となっていること、(3)さらにインプットやアウトプットが生じるタイミングを選ぶことが可能となっていることの3点が特徴となっていることを明らかにした。このことは、収益費用アプローチが多様な形で存在しうる可能性を示すものと考えられる。
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Research Products
(2 results)