2011 Fiscal Year Annual Research Report
企業価値測定における諸問題と実証分析およびBSCの適用可能性
Project/Area Number |
22530490
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Research Institution | Ibaraki Christian University |
Principal Investigator |
青木 茂男 茨城キリスト教大学, 経営学部, 教授 (50129061)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青淵 正幸 立教大学, 経営学部, 准教授 (00290130)
中嶋 教夫 明星大学, 経営学部, 准教授 (90409425)
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Keywords | 企業価値 / 企業価値の測定 / MM理論 / 資本構成 / ICT投資評価 / ICTマネジメントシステム |
Research Abstract |
23年度は企業価値およびBSCに関する日米の文献を収集し、体系づけて整理することを研究計画に挙げた。企業価値の概念および測定方法は多様であり、企業価値と株価の関係についても諸要因に影響される。また、企業価値を高めるためのドライバーとしてICT投資は重要であるから、投資効果の測定は不可欠である。 このような認識から、企業価値測定が、実務ではいかに行われているのかを裁判例で明らかにして測定方法を体系化し、企業価値は資本構成によって影響されないというMM理論の第1命題を株価説明力の視点から回帰分析で検討し、企業価値を高めるためのICT投資の投資評価手法を検討した。ICT投資の投資評価手法は前年度のBSCによるICT投資決定に引き続く研究である。 この結果明らかにされたことは以下の通りである。 ・企業価値測定は、会計、財務理論、裁判例ともに大きな相違はない。しかし、裁判では収益還元法の採用が減少しDCF法が増加している。また、配当還元法も少数株主の立場を考慮して広く採用されている。 DCF法は理論的ではあるが、将来キャッシュ・フローの予測、割引率の決定という厄介な問題を抱えている。そのため、裁判では複数の方法を併用するのが一般的である。 ・企業価値が端的に反映されるのは株価であるが、企業価値の株価説明力は資本構成によって異なる。財務データを用いで資本構成の相違による株価説明力は、自己資本比率が低い場合には説明力が低く、高い場合には説明力が高いという、MM理論に相違する結果となった。 ・経済産業省はICT投資評価手法を示しでいるが、評価手法の継続的活用と選択、投資効果の及ぶ範囲、評価手法の組み合わせについて問題が存在することが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
企業価値評価の理論的研究、実証的分析およびBSCに関しては、研究構成員3名ともにすでに長い間研究を重ねている。したがって、テーマの問題点の所在、研究のアプローチともに適切に認識しており、研究が効率的に進められているのが理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度は研究の最終年度にあたるので、残された課題を明らかにして、研究の完成を目指したい。すなわち、(1)企業価値測定が実務的にそのように行われているのか、米国の文献で解明する、(2)財務データによって日本および米国の証券市場における企業価値の特性を明らかにする、(3)ICT投資が効率的に機能した場合に、企業価値に対してどのような影響を及ぼすか、について研究をする。
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Research Products
(5 results)