2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22530494
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
大沼 宏 東京理科大学, 経営学部, 准教授 (00292079)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
櫻田 譲 北海道大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (10335763)
加藤 惠吉 弘前大学, 人文学部, 教授 (70353240)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 租税状況 / コーポレート・ガバナンス / 移転価格税制 / 連結納税制度 / 経営者報酬 / イベント・スタディ / 2SLS |
Research Abstract |
本年度の研究の中心テーマはコーポレート・ガバナンスと租税状況の関係性を、上場企業を対象に調査を行うことである。本年度は研究プロジェクト3年目ということで、前年度から継続中の研究計画の完遂およびその発展的な問題の検証を最大の目標としていた。 具体的には以下の3点の研究計画が一定程度達成された。 1) 2002年度に導入された連結納税制度を題材に、連結納税制度に加入する企業の属性について調査した。その調査データを基に、連結納税制度に加入して、且つ租税回避行為に積極的な企業のコーポレート・ガバナンス構造はどうなっているかを実証的に検証した。分析の結果コーポレート・ガバナンス構造が頑健な企業ほど連結納税制度を導入する傾向にあることが明らかになった。 2) 経営者報酬及び賞与の支給状況は、租税回避行為の遂行状況と何らかの関係を持つかどうかを分析した。分析の結果、租税回避行為に積極的な企業ほど経営者報酬とコーポレート・ガバナンスの強度は高い関係性を有することが示された。また、租税回避行為に積極的に取り組む経営者の意識に対して外部機関投資家は賛意を示していると考えられる。租税回避行為に積極的な企業を外部機関投資家は評価するからこそ、経営者報酬に一貫して肯定的な関係を示す。 3) 移転価格税制適用報道に対する証券市場の反応をイベント・スタディを通じて分析した。分析を通じて、海外売上高比率や広告宣伝費比率のような企業の将来性や透明性を示唆する変数,あるいは実効税率のようなコンプライアンスを示唆する変数に市場はプラスの反応を示すことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在、概ね当初の研究計画通り進んでいる。研究計画においては上場企業を対象とした分析を中心に置いていたので、主要な分析は順調に進んでいる。今後は分析対象をより広げていく予定である。 その一方で、租税状況とコーポレート・ガバナンスの関係性については、研究計画立案時に想定していた以上に、その内容が豊富であることが明らかになってきた。今後は現在までの研究成果を基礎にさらにその先へ研究を進展させていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は分析対象を、上場企業だけではなく、中小企業まで広げていきたい。またコーポレート・ガバナンスの状況についてはもう少し調査を進めて、より詳細な状況までも分析対象としたい。具体的には取締役会の年齢、構成、学歴、職業履歴等が租税状況及びコーポレート・ガバナンスに与える影響も検証していく予定である。
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Research Products
(15 results)