2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22530498
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
清水 信匡 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (90216094)
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Keywords | 戦略不全企業 / マイルズ=スノオ理論 / 防衛型企業 / 探索型企業 / 分析型企業 / アンケート調査 / 設備投資予算 / 受身型企業 |
Research Abstract |
本研究の目的は、(1)戦略不全企業の特徴を、健全企業(防衛型、探索型、分析型)と比較して、業績管理の側面から企業へのアンケート調査によって実証的に明らかにするとともに、(2)戦略不全の状態から機能回復を果たした企業に対してインタビュー調査を行うことによって、回復プロセスを業績管理の側面から明らかにすることである。本研究では、戦略不全企業に焦点を絞り、そのような企業がいかに健全な企業へと回復できるかの糸口を業績管理の側面から探り出すことを目的とする。本年の研究計画としてアンケート調査の質問項目の作りこみを行うために、本研究のきっかけを作った基盤研究(B)19330097で行ったアンケートの回答データを使って戦略タイプ別(防衛型、探索型、分析型)の設備投資予算の特徴を析出した。その結果わかったことは次のとおりである。 (1)防衛型の設備投資予算の特徴:特定の事業領域で確固たる地位を築くことに専念するために、新規投資プロジェクトを探索するようなことは少ない。したがって、設備投資は主にコスト競争力を高めるために行われる。そして、マイペースで設備投資案を作成し、実行し、事後的に入念に採算性をしっかり評価する。 (2)探索型の設備投資予算の特徴:新しい市場を開拓し、先行者の利益を獲得するために、常に市場の機会を探索し、評価、選択する。したがって、設備投資は新製品を製造するためのものが多い。そして、設備投資案の作成段階で採算性とタイミングを強く意識しながら、入念に代替案を比較検討する。 (3)分析型の設備投資予算の特徴:既存の技術で参入可能な市場の機会を確実につかむために、慎重かつ入念な審議を尽くしながら、かつ最適なタイミングで投資決定をくだす。設備投資にあまり積極的でない。 戦略不全企業はこの3つの戦略タイプの特徴が崩れたものと考えられる。この結果を受けて質問項目を作成中である。
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