2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22530499
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Research Institution | Shizuoka Sangyo University |
Principal Investigator |
佐藤 和美 静岡産業大学, 経営学部, 准教授 (60350922)
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Keywords | 水道事業 / 公益事業会計 / 総括原価 / 施設更新 / 資産維持費 |
Research Abstract |
本研究は、独立採算を原則とする水道事業が、世代間の負担を公平に保つことを前提に、今後サービスの質を落とすことなく事業の遂行を保証する健全な財政収支を確保することを目的に、水道事業体の財政を会計の視点で理論的および実証的に分析する。分析の視点は、(1)行うべき事業計画と投下資金の関連性および資金調達の方法について、(2)水道料金の算定根拠とされる総括原価、特に資産維持費に内在する不確定性について、(3)事業計画にともなう投下資金の回収計算とシミュレーションについて、(4)上記(1)から(3)で得られた分析結果を踏まえ「水」の原価を割り出す、(5)水道事業会計において施設更新を確保するシステム作り、の5点であり、これらを通して水道事業における「水」の原価を明らかにし、さらに実体資本の維持を可能にするシステムを構築する。 平成22年度は、本研究の基礎的理論を形成し、実証分析のための基礎モデルの構築を行う年度とし、公益事業としての水道事業の実体資本の維持に関する先行研究を検討・整理してきた。わが国で、水道料金設定の際の基本的考え方とされる総括原価については各構成要素を吟味、検討するなかで、特に、「事業の施設実体の維持等のために、施設の建設、改良、再構築及び企業債の償還等に充当される」(「水道料金算定要領」社団法人日本水道協会、平成20年3月改定、2頁)の観点から設けられている費用項目である「資産維持費」の不確定要素を検討し、その算定根拠について考察した。また公益企業会計における減価償却費との関連性や繰越剰余金との関連性についでも検討を行い、今後の水道事業実体資本維持に向けての概念整理を行った。この検討は平成23年度も引き続き行い、今後の社会・経済情勢の変化を加味し、本研究の土台となる理論的モデルおよび仮説を構築し、学会および論文での発表に繋げていく所存である。
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