2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22530499
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Research Institution | Shizuoka Sangyo University |
Principal Investigator |
佐藤 和美 静岡産業大学, 経営学部, 教授 (60350922)
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Keywords | 水道事業 / 施設更新 / 地方公営企業会計 |
Research Abstract |
本研究の資するところは、独立採算を原則とする水道事業体が、水道事業の持続可能性に対し、健全経営を実現しつつ実態資本の維持を財政的にどのように図るべきか、会計的視点に立ち、理論的および実証的にその方策を探る点にある。平成23年度は、上記目的のアプローチの一つとして、水道事業体における将来の施設建設資金および更新資金を準備する会計システムと効率的な資金繰りについて検証した。資金確保の方法には、企業債の発行、借入金、補助金などの外部資金の導入と自己金融による内部資金の利用が列挙されるが、資金確保の方法は経済合理性を基本に無駄のない資金繰りを可能にする選択を行わなければならない。経済合理的な資金確保の実現とは、第一に、自己金融と補助金を中心に資金確保を図ることである。人口が減少し有収水量の減少する中で、水道事業は拡大再生産の環境ではなくなっている。そこでコストが発生せず返済の義務のない資金確保を考え、減価償却費などの非支出費用と利益留保の内部金融効果の徹底有効利用、および補助金を核に資金調達を計画する。第二に、資金を効率良く使用するための長期施設更新計画と資金繰り計画を作成する。前述の資金は休眠させてはならない。利用されずに眠る資金は利益ポテンシャルを逃し機会コストを生んでいる。小さな資本で大きな業務をこなすために施設更新工事に費やす資金の支払いの平準化を図り流れを良くする。第三に、経営活動を効率的かつ効果的に行うことである。組織の目的を明確にし、マネジメント・コントロールを効果的に行うことにより、業務の質・スピード・コスト低減が高水準に達成される。そのことは水道利用者へのサービスの向上、留保される利益額の増大すなわち利用可能な更新資金の増大につながる。平成23年度の研究は平成24年度においても継続され、さらに検証を深めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的へのアプローチとして、2側面の分析を予定している。(1)水道事業体における将来の施設建設資金および更新資金を準備する会計システムと効率的な資金繰りの検討、(2)「水」の原価を明らかにし、水道料金算定の根拠とされる総括原価、特に資産維持費の検討、である。おおむね基本的な検討は進んでおり、今年度はそれらのまとめに入る予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は本研究の最終年度であり、研究のまとめとしてこれまでの研究を引き継ぎ、さらに詳細な検討を加え、水道事業の施設更新のための資金確保に関する問題点と対処を総括する。特に、水道料金算定の根拠とされる総括原価、なかでも資産維持費の検討を主に分析を行い、水道事業体における将来の施設建設資金および更新資金を準備する会計システムと効率的な資金繰りの検討と併せてまとめに入る予定である。
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Research Products
(1 results)