2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22530504
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
柴 健次 関西大学, 会計研究科, 教授 (40154231)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三島 徹也 関西大学, 会計研究科, 教授 (70309342)
正司 素子 関西大学, 会計研究科, 特別任用教授 (80570697)
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Keywords | 剰余金 / 資本金 / 資本準備金 / 純資産 / 配当規制 / 債権者保護 / IFRS |
Research Abstract |
平成17年度の会社法上の「剰余金」の制度改正により会社法務上及び会社経理上新たに生じた問題を明確にするための調査研究が初年度の課題となる。具体的には、(1)旧商法剰余金規定の歴史的変遷と会社法制定時の規定改正の立法趣旨の確認作業、(2)改正時の立法趣旨の実務における浸透度に関する文献上の調査、(3)規定改正により新たに生じた実務上の問題に関する文献上の調査に取り組んだ。その結果、会社法における債権者保護の思想が強く出る時期とそうでない時期に剰余金関連規程が変化していることがわかった。そして現行法では、会社法は債権者保護思想が後退し、ディスクロージャー依存型の剰余金規程に変質している。 平成23年度も初年度の課題を継続して調査した。その結果、会計上の資本・剰余金会計は、独自の理論的展開をせず、商法・会社法上に依存していることが鮮明になった。すなわち、法理に会計理論が従属する形式が確認された。しかしながら、商法時代には配当可能利益計算が会計側において主張されたにもかかわらず、会社法時代に入り分配可能剰余金計算が主流化することはなかった。ここに会計側における独自性の主張が見えるが、その理由が明確になっておらず、次年度に持ち越しの課題となった。一方、商法・会社法の関心が配当可能利益から分配可能剰余金にシフトしたことによる企業会計実務上の影響を調査したが、その度合いは大きくないことが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
最初の二年間は直観的に想定される課題に取り組んだが、会計理論上の変遷よりも、商法・会社法の法理の変遷が企業実務に影響する度合いが大きいことが分かった。それにもかかわらず、会社法の制定による影響は大きくないことも確認された。これらの見解を得るまでに多くの時間を要したが、達成度はほぼ予定通りである。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、剰余金の法理、剰余金の会計理論、剰余金の会計制度につき、3年間の研究を総括するが、特に計画の変更を必要としない。
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Research Products
(10 results)