2012 Fiscal Year Annual Research Report
我が国の財務報告における環境リスクに関する会計情報の開示
Project/Area Number |
22530505
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
川原 尚子 近畿大学, 経営学部, 教授 (40511184)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 環境会計 / 財務報告 / 会計情報 / 環境リスク / 非財務情報 / 開示制度 / 持続可能性 / 国際会計 |
Research Abstract |
平成24年度は,当初の計画の意図に沿って効果的な研究成果にほぼ到達できたといえる。まず,「証券制度における財務報告での環境開示 -カナダ証券管理局「環境報告指針」-」の論文で,カナダ証券管理局が公表した「環境報告指針」の文書をもとに,証券制度における環境開示の可能性を検討した文献研究をとりまとめた。カナダの「環境報告指針」は制度上,報告書発行者に対し明瞭で一貫した包括的で信頼できる環境開示を求めており,環境開示の透明性と品質を改善する可能性がある。一方,このような制度指針があっても環境情報の信頼性を確実にするための効果的な戦略とプロセスを企業が確立することが不可欠でそれが環境リスク開示の程度に影響するのではないかとの結論に至った。この論文の内容に関連して,社会環境会計の国際会議でカナダの研究者からカナダの主産業分野である鉱業や農業関連の企業の環境情報の開示,およびカナダの制度開示に関する貴重な知見を得ることができた。環境開示の戦略とプロセスの先進的開示の可能性について,とりわけ資産除去債務の会計に関連した環境情報の開示,また環境リスクの開示についてこの文献からの示唆は非常に貴重といえる。 次に,「有価証券報告書における資産除去債務の環境開示と監査」の論文では,日本の上場会社を対象に資産除去債務の会計基準が初年度適用された2011年の有価証券報告書における環境情報開示分析を行った。日本の制度財務報告での環境問題の開示に関する財務報告基準や開示ルールは,諸外国と比較し初期段階にあるが,分析の結果,環境情報の開示企業は非常に少なく,資産除去債務の公正価値の見積もりの情報も十分ではないに言及し,透明性の高い開示のためのさらなる方策が必要との結論に至った。前述のカナダの開示例と比較研究する視座は開示の進展のための鍵となるものといえる。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(4 results)