2011 Fiscal Year Annual Research Report
IAS/IFRS準拠の個別決算と配当・税計算テストの改革テーゼに関する研究
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22530509
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Research Institution | College of Heathcare Management |
Principal Investigator |
木下 勝一 保健医療経営大学, 保健医療経営学部, 教授 (40018643)
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Keywords | 会計学 / 国際会計基準 / 個別決算 / 連結決算 / 基準性原則 / 資本維持 / ソルベンツテスト / 独立税務会計 |
Research Abstract |
平成23年度の研究実績は、ドイツ政府が打ち出した「企業の誠実性と投資家保護の強化のための10項目プログラム」の立法政策としての資本市場法制を分析的に究明し、国際的資本市場の規制ルールであるIAS/IFRSの国内法への内部化過程を研究した。その結果、ドイツの特徴が(1)資本市場指向のIAS/IFRS準拠の連結決算と非資本市場指向のHGB準拠の連結決算、(2)IAS/IFRSとHGB準拠の個別決算という連単分離方式を採用したことにあったと確認し、そのうえで、HGB準拠の個別決算の計算規範に関する「ドイツ問題」について、(1)会社法(株式法)の資本維持・債権者保護重視の配当制限条項、(2)法人税法の商法決算依存条項の現行の税計算方式の2点にわたって研究を行った。 また、IAS/IFRSの内部化に関して、平成23年度の研究では、商法会計規範の法秩序構造のなかにIAS/IFRSが整序されている点にドイツの特徴があることをIAS.IFRSの法規範性という視点から分析的に論究した。そして、その研究の成果として、(1)「ドイツ会計基準委員会の新しい秩序への転換」『企業会計』(中央経済社)第64巻1号、2012年、133-139頁、(2)「ドイツ商法の法秩序の構造と欧州版IFRSの内部化」『産業経理3(産業経理協会)第72巻1号、2012年、16-23頁、(3)「欧州版IFRSの域内内部化とドイツの戦略的対応」『会計』(森山書店)第181巻5号、2012年、50-63頁を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
IAS/IFRSの欧州法とドイツ国内法への内部化の過程研究を終えるとともに、現行の個別決算に準拠した配当・税計算システムに関する研究もほぼ達成できたので、新しい配当・税計算テストの改革テーゼに関する最終年度の研究に順調に進展してきている
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題は、ドイツ国内におけるIFRS準拠の個別決算の配当・税計算テストの改革の可能性を論究するものであるが、今後の課題研究の方向性として、欧州域内における配当規制の調和化のほか、欧州共通法人税ベースの議論が重要な論点となることが考えられる。このため、本研究課題の成果をさらに欧州全体へのドイツの戦略的なアプローチの意義について研究していく。
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Research Products
(3 results)