2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22530513
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
今田 高俊 東京工業大学, 社会理工学研究科, 教授 (00107517)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | リスクマネジメント / リスクリテラシー / リスクコミュニケーション |
Research Abstract |
3.11後の社会におけるリスク対応について、福島第一原子力発電所事故と安全神話の崩壊および高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の処分について考察した。「事故」の前に「想定外」という言葉を冠して、事故を天災によるものであるかのように位置づけることは、人災であることを可能な限り覆い隠そうとする心性を反映している。大地震と大津波は確かに天災である。しかし今回の原発事故に関してはリスク管理の甘さによる人災のほうが大きい。 また、高リスク技術である原発の安全神話づくりには社会的な落とし穴があることを認識すべきである。経済効率と安定供給の両面で原発エネルギーは、化石燃料エネルギーや再生可能エネルギー等と比較して突出して優れている。しかし、最大の弱点が安全性である。このため産官学が連携して安全神話づくりがおこなわれてきた。しかし、安全神話により日本国民は原発リスクリテラシーを涵養する機会を逸してきたといっても過言でない。安全神話によって理性の眠りについてしまうのではなく、リスクについての理解を深めることにより、不確実性への対処能力を高めることが求められる。 さらに、日本の地質学的状況を前にすれば、核のごみの地層処分にはきわめて高いリスクが存在する。精緻なリスク認識に基づいた対応が必要であり、安易な安全神話づくりに陥らないようにすることが重要である。円滑なリスクコミュニケーションの確保とリスクにつての民主的な熟議が求められる。それは、社会を取り巻くリスクの関係当事者間で意思疎通を図ることにより、場合によっては徹底的な討論をすることにより、リスクへの対応策についての合意形成を図ることである。 今後、リスク管理、リスクリテラシー、リスクコミュニケーションと熟議についての概念的・理論的整備が急がれる。新たな安全神話に呪縛されないためにも、リスク学の彫琢が不可欠である。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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