2011 Fiscal Year Annual Research Report
現代的多元主義状況下における社会と<性別制度>の関係についての規範理論的探究
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22530514
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Research Institution | Tokyo Woman's Christian University |
Principal Investigator |
金野 美奈子 東京女子大学, 現代教養学部, 准教授 (20346232)
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Keywords | 公共的理性 / ロールズ / 性別 / 政治的代表 / 公正な雇用機会 / 家族のオルタナティブ / 政治的リベラリズム |
Research Abstract |
本研究は、「現代的な多元主義状況を前提としたとき社会と<性別制度>との関係をどのように規範的に構想できるか」という課題に対し、ジョン・ロールズの政治的リベラリズムと公共的理性論の枠組みを手がかりとして、公共性を志向した一つの回答を提出することを目的とするものである。昨年度に行った政治的リベラリズムによる多元主義的規範理論の枠組み(開かれた共同性の理念にもとづく公共的理性)の検討とその課題の考察を踏まえ、今年度は具体的な問題に即して公共的理性の観点から検討を進めた。 具体的な課題としては、公共的理性の対象となる社会の基本構造に関わる事柄として、1.政治的代表、2,雇用における公正な雇用機会、3.家族のオルタナティブをとりあげた。 1.については、社会的代表の性別構成に関する議論をとりあげ、これまでクォータ制などの主な根拠とされてきた記述的代表の概念を中心に、公共的理性の観点からみたその問題点を検討し、政治的代表という理念をよりよく体現しうる代表の観念と性別属性との望ましい関係を、個別の包括的意味世界とは異なるものとしての政治的意味世界の創出という観点から考察した。2.については、ロールズによる公正な機会の原理(第2原理の1)についての考察を出発点に、ロールズ理論全体の枠組みとより整合的な概念化について検討するととともに、公共的理性の観点から、雇用における反差別の論理構築を試みた。3.については、別姓婚や同性婚などをめぐる従来の議論の状況を踏まえ、リベラルな擁護と伝統主義による批判との相克という観点から、家族のオルタナティブを包摂する公共的理性の論理を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
22・23年度において、当初計画どおり、全体の枠組み(政治的リベラリズムによる多元主義的規範理論の枠組み、および開かれた共同性の理念にもとづく公共的理性)と3つの個別領域(政治的代表、雇用における公正な雇用機会、家族のオルタナティブ)それぞれについて、議論の骨子をまとめ終えた。
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Strategy for Future Research Activity |
最終的なアウトプットに向けて、理論的考察および個別領域についてのこれまでの考察を相互に参照しながら精緻化する。全体枠組みについては、とくにフェミニズムからの批判を精査するとともに、コミュニタリアニズム、リバブリカニズムなど関連する枠組みとの異同についても再確認し、政治的リベラリズムによる多元主義的規範理論の提示自体を公共的理性の試みとして理解する枠組みのいっそうの明確化をはかる。個別領域については、重点的な課題として、統計的差別の意味(雇用における公正な機会)、同性婚と子どもをめぐる論点(家族のオルタナティブ)、記述的代表の論理とパリテの論理との異同(政治的代表)等の論点にとくに着目しつつ、議論を深めていく。
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