2010 Fiscal Year Annual Research Report
フランスにおける市民参加の実態と理論に関する研究:「共和制モデル」変容の視点から
Project/Area Number |
22530517
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Research Institution | Komazawa University |
Principal Investigator |
中野 裕二 駒澤大学, 法学部, 教授 (10253387)
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Keywords | フランス / 市民参加 / 共和制 |
Research Abstract |
「共和制モデル」の変容を市民参加に焦点を当てて実態面と思想面から検証することが本研究の目的であるが、平成22年度は主に「住区評議会」に焦点を当てた。ストラスブールとボルドーの市当局者と面会し、市民参加の仕組みについて聞き取り調査と資料収集を行った。 ストラスブールの場合、「住区評議会」は、市議会の議決の対象となる住区に関係する種々の施策に関して市長から諮問され、審議のうえ答申する。答申内容は市議会の議案となる。住区評議会には近隣住民の生活感覚からの意見を述べることが期待されている。 「住区評議会」は3つの枠から構成される。1つは住民枠であり、住区評議会メンバーの3分の2を占める。2つはアソシアシオン枠である。当該住区で活動するアソシアシオンが対象となり、その代表が住区評議会のメンバーとなる。3つは職能枠である。応募した職能団体の中から抽選される。 ボルドーの場合、「住区評議会」は、住区住民が誰でも参加できる政策実施説明会のような形式をとっており、市民の参加の意義はストラスブールのような形式のものと比べ低いと判断される。しかし、ボルドーでも限られた人数の住民による参加による「住区評議会」が一部住区で実験されるところであり、一年後の評価について検証しなければならない。 なお、ストラスブール、ボルドーいずれの自治体においても、地域における「テーマ型」参加装置(例えば、都市計画、文化的多様性など)を用意している。さらに、ストラスブールの場合は、外国人住民評議会も設置し、広く住民参加の装置を用意している。これら地域における市民参加装置の実態面・理論面での検証も研究計画の中に組み込む必要がある。
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Research Products
(1 results)