2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22530521
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
佐藤 春吉 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (70247807)
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Keywords | 多元主義的存在論的 / 批判的実在論 / 批判的社会理論 / カール・、マルクス / マックス・ヴェーバー / ニコライ・ハルトマン / カール・R.ポパー / 行為論 |
Research Abstract |
本研究は、追加採択となったものである。研究目的は、マルクス、ヴェーバー、ハルトマン、ポパーの諸理論を総合する多元主義的存在論に基づく批判的社会理論の開拓である。当初は、ヴェーバーの科学方法論の研究を優先し、その理念型論の研究をまとめる予定でいたが、不採択の結果を受け、研究の視点を広げやや周辺的な問題に移して作業を進めてきた。採択後もそれを継続することとなった。具体的には、ハルトマンの『認識の形而上学』における「認識の現象学」から存在論に進む独自の方法論について改めてその論理過程について検討する作業を進めた。同時に、主観と客観の存在次元の媒介問題として認識問題と並んで重要となる心身問題についての近年の議論状況の把握に努めた。関連してイギリスの批判的実在論や実在論者マリオ・ブンゲの研究も進めた。後期途中よりヴェーバーの方法論研究に重点を移し、現在鋭意推進中である。具体的には、理念型論成立過程とその背景的問題意識を解明し、理念型が新カント派的な認識論理学的な問題のなかで構想され、概念の実在領域との厳格な区別の主張が論理的な差異の問題とみなされているが、ヴェーバーの主観的認識を超えて、存在論的な差異としてより整合的に解釈可能となる経緯を論証するための作業に入っている。見通しは立っているが、近年再びその解釈が進展してきているシュタムラー批判論文、カテゴリー論文などについてのさらに正確な読解の作業を続けているところである。残念ながら、現時点ではまだ具体的成果を生み出していないが、できるだけ早期にこの作業を完了させ、論文作成の成果につなげ、研究計画の遂行に努める所存である。
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