2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22530522
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Research Institution | Osaka Sangyo University |
Principal Investigator |
斉藤 日出治 大阪産業大学, 経済学部, 教授 (10186950)
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Keywords | 海南島 / 紀州鉱山 / 歴史認識 / 植民地 / 戦争責任 / 海南海軍警備府 / ヘゲモニー / 石原産業 |
Research Abstract |
本研究の目的は、日本によるアジアの植民地支配と侵略戦争の犠牲となった被害者の一人一人と向き合うことを通して、日本の歴史認識を再点検することにあり、この作業を紀州鉱山と海南島について具体的に追究することである。 紀州鉱山については、4月と9-10月の韓国訪問によって、鉱山で死亡した朝鮮人の出身地でその氏名を特定できた。また鉱山に徴用された朝鮮人の氏名と出身地を何人かについて判明できた。さらに石原産業が経営する四日市工場を訪問して、英国人捕虜と朝鮮人の就労実態について聞き取りをおこなった。 海南島については、まず4月と10月に韓国を訪問し、「朝鮮報国隊」として朝鮮から海南島に派遣され生きてもどることのなかった犠牲者の遺族と出会い、身内の死をどのように知り、受け止めたのかについて聞き取り、さらに日本軍の軍人・軍属として海南島に派遣された朝鮮人に面談して、海南島での軍隊生活の様子を聞き取りした。報告は『海南島近現代史研究』2・3号に掲載。また、2011年2月下旬から3月初旬にかけて海南島を訪問し、万寧市月塘村、三亜市郊外の「朝鮮村」、黄硫、新村、沙土などを訪問し、日本軍による村民や朝鮮人の虐待・虐殺の実態について聞き取りを行った。 さらに、海南島における日本軍の「Y作戦」と経済的な統治政策が村民虐殺とどのように結びついていたのかについて、防衛図書館所蔵の『海南海軍警備府戦時日誌』を点検し、被害者からの聞き取りと照らし合わせながら、軍事作戦、統治政策、治安戦の関連を究明した。 またこのようなアジアの犠牲者を忘却する戦後の歴史記憶が知的道徳的指導によって組織されたものであることについて「歴史記憶の組織化のヘゲモニーと植民地主義」というテーマで原稿をまとめた
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Research Products
(4 results)