2012 Fiscal Year Annual Research Report
離婚母子世帯の子どもの扶養をめぐる福祉国家と家族の関係に関する日英比較研究
Project/Area Number |
22530525
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
下夷 美幸 東北大学, 文学研究科, 准教授 (50277894)
|
Project Period (FY) |
2010-10-20 – 2013-03-31
|
Keywords | 離婚 / 母子世帯 / 養育費 |
Research Abstract |
2000年代後半以降の日本と英国の養育費政策の動向と実態について検討した。 日本では、2011年5月の民法改正により、離婚の際に「面会交流」と「養育費の分担」を定めることが明記され、それにともない、2012年4月から離婚届書にこれらのチェック欄が設けられている。これらの法制度の改革を受けて、地方自治体の母子自立支援員による養育費相談や国の養育費相談支援センターでは、養育費や面会交流の相談件数が増加している。しかも、さらに、相談内容の質にも変化が見られ、支払い義務者である父親からの相談や、子どもの面会交流と養育費の複雑に絡んだ相談など、相談内容が複雑化している。こうした養育費をめぐる制度や現場の変化にもかかわらず養育費問題の解決に向けた、国の支援政策にはほとんど進展がみられない。 英国では、1990年代に行政による養育費確保の制度を導入し、国が強力に養育費問題の解決に関与してきたが、それは順調とはいえず、2000年代後半からは養育費制度の抜本改革が進められている。その方向は、国による強制的な養育費の取り決めや徴収の強化だけでなく、両親の合意による取り決めや自主的な支払いを推進するというもので、とくに、2010年の政権交代により誕生した保守党・自民党連立政権は、その方向をいっそう強化し、両親の合意による問題解決を原則とし、それが不可能なケースについてのみ、行政による養育費制度の利用を認める方針を打ち出している。これは、子どもの扶養をめぐる再私事化(再家族化)ともいえるが、国は家族支援の民間団体の活用もすすめており、1990年代以前の、家族への不介入状況とは様相が異なる。 このような2000年代後半以降の両国の養育費政策の展開から、日本の政策の特徴として、国による家族不介入の原則が強固に維持されていることが明らかとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
|