2011 Fiscal Year Annual Research Report
東アジアにおける人間観・世界観、社会観、インターネット観の関係性に関する国際比較
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22530529
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
仲田 誠 筑波大学, 人文社会系, 教授 (50172341)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
海後 宗男 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (60281317)
石井 健一 筑波大学, システム情報系, 准教授 (90193250)
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Keywords | 東洋的世界観 / 世間意識 / プライバシー観 / インターネット観 / 企業倫理 / ロボット倫理 / 個人主義 / 天譴論 |
Research Abstract |
平成23年度においては日本、タイで「インターネット利用者」への意識調査(一般住民および学生調査を対象)および聴き取り調査を行ない、その結果、先行研究で一部明らかになった(東アジアで広く共有されていると思われる)「集合主義」、「運命主義」、「自然観」、「誠実さ指向」などを含む「精神主義・間人主義」(的世界観)とインターネット観(プライバシー意識、新たな対人コミュニケーションへの指向性など)・ロボット倫理観との関連性が確認された。平成22年度は、同様の調査を日本および中国で実施した。これらの結果を総合的に分析し、得られた知見を国際会議・研究発表会等で発表し、さらに、学術雑誌、書籍等で発表した。今回得られた主たる知見は以下のとおり。(1)日本人(調査対象者)は、「世間=運命論」とでもよぶべき価値観、ものの見方を共有している。これは仲田が過去15年以上にわたって実施してきた調査・研究の知見と一致する。(2)この「世間=運命論」は、日本人のプライバシー観、インターネット観(いわゆるCMCやブログ利用に関する意識)、科学・技術観(ロボット観を含む)などを規定している。3)「世間=運命論」は、日本人の企業倫理のありかたとも連動している。「世間=運命論」は、「運命観」、「天譴論」、「清貧の思想(人間は豊かになりすぎると堕落するという精神論)」、「科学万能を否定する考え」、「相互扶助の大事さ」等々が企業倫理と連動するのはきわめて興味深い。(3)中国、タイの人たちも、「日本的」あるいは「東洋的」価値観を日本人と共有している。(4)しかし、日本人と中国人、タイ人では対人関係のありかた、友人関係のありかたたがかなり違う。たとえば、タイ人はいくつかのインナー・グループに所属し、この中での人間関係は濃厚でさまざまなプライバシー情報も共有されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初申請した研究費より配分額が少なく、また、研究費の支給も平成23年度は遅れたため、一部の外国調査の実施が遅れ、調査の分析が予定より若干遅れた。しかし、全体としては計画全体は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度前半は基本的に平成22年度・平成23年度に日本、中国、タイで実施したアンケート調査(日本および中国では一般住民および学生調査を対象、タイでは学生調査を実施)結果の分析をさらに掘り下げて実施する。年度後半は、筑波大学でシンポジウムを開催し、日本、タイ、中国、ドイツの研究者等と調査結果をもとに意見交換する。それをさらに論文、報告書等のかたちでまとめる予定である。
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