2012 Fiscal Year Annual Research Report
東アジアにおける人間観・世界観、社会観、インターネット観の関係性に関する国際比較
Project/Area Number |
22530529
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
仲田 誠 筑波大学, 人文社会系, 教授 (50172341)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
海後 宗男 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (60281317)
石井 健一 筑波大学, システム情報系, 准教授 (90193250)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 東洋的世界観 / 世間意識 / プライバシー観 / インターネット観 / 企業倫理 / ロボット倫理 / 個人主義 / 天譴論 |
Research Abstract |
平成24年度は、基本的に平成22年度・23年度に日本、中国、タイで実施したアンケート調査の分析をさらに掘り下げて実施した。また、日本のメディアでの報道、議論の内容分析を行い、得られた知見を国内外の国際会議で発表し、いくつかの国際会議の論文集等で発表した。さらに、仲田が編集責任者となり、英語での報告書・論文集を刊行した。調査・内容分析で得られた主たる知見(論文等で報告した内容)は以下のとおりである。1)日本人(調査対象者)は、「世間=運命論」とでもよぶべき価値観、ものの見方を共有している。2)この「世間=運命論」は、日本人のプライバシー観、インターネット観(CMCやブログ利用に関する意識)、科学・技術観、ロボット観などを規定している。3)「世間=運命論」は、日本人の企業倫理のありかたとも連動している。「世間=運命論」は、「運命観」、「天譴論(天がこらしめのために災害を引き起こすという論)」、「清貧の思想」、「科学万能を否定する考え」、「相互扶助の大事さ」等々といった、いわば伝統的、非合理的な考え方だが、これがロボット観などと連動するのはきわめて興味深い。おそらく、「世間=運命論」の中に、ある種の存在論的ものの見方、「徳」に関する意識がひろく含まれていて、これが日本人の基盤にある価値観、ものの見方と共鳴するのではないか。3)タイや中国の人たち、日本に学ぶ海外からの留学生も、「日本的」あるいは「東洋的」価値観を日本人と共有している。4)ドイツなどで議論されているwhatとwhoの視点の違いを今回の議論と結びつければさらに深いレベルでの議論が可能になるのではないか(Rafael Capurroらの示唆による)。5)仏教的人間観の問題を東洋のプライバシーの問題と結びつけて論じれば、さらに(情報化時代における)東アジアにおける人間観のありかたを考える重要な視点が見えてくるのではないか。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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