2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22530532
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
赤川 学 東京大学, 人文社会系研究科, 准教授 (10273062)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 人口減少 / 社会構想 / 社会関係資本 |
Research Abstract |
ここまでの3年間、「人口減少時代における地域づくり」というテーマを設け、この点に関して先進的な取り組みを行っている地方自治体を中心に地域調査を実施し、社会的ネットワーク、信頼、互酬性を構成要素とするソーシャル・キャピタルを測定する質問紙調査を行なった。平成25年度は以下の研究計画に基づき、課題を遂行した。 (1)公共社会学や地域づくりの観点からみて、日本国内で先進的な取り組みを行っている地方自治体の関係者や住民にインテンシヴな聞き取り調査を行なった。(2)地域づくりのなかでも、地域間競争に対応する地域経営の戦略的取組みとして、町並み保存、交流人口の拡大策など、人口減少問題を考える際に、より必要になる具体的な政策を行なっている長野県小布施町、下伊那郡清内路村、塩尻市奈良井を対象に、全戸配布による質問紙調査を行った結果を、地域の人々にフィードバックし、それをもとに再分析を行なった。その成果は東京大学文学部社会学研究室(編)『人口減少時代の地域づくりV』として公刊された。 この過程で、信頼、互酬性、社会的ネットワークからなる社会関係資本が地域に住む人びとのwell-being(主観的健康感、生活満足度)や幸福感、外国人への寛容度などを上昇させることを検証した。特に社会関係資本のうちどの要素がよりこれらの諸変数に影響するかをある程度、特定することができた。人口減少を所与とし、かつグローバルな地域間競争にさらされる21世紀の日本の地域社会においては、人びとの「つながり」や「絆」のどのようなパタンが、地域の持続可能性を高めるかについての詳細な分析が急務であり、ここまでの研究は、人口減少社会の社会構想を考える上でも重要な意義をもつ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
人口減少地域の具体的な課題を探り、それを克服するための方策として重要と考えられているソーシャル・キャピタル(社会関係資本)の諸要素を具体的に測定する質問紙調査を再分析することができた。特に地域単位では明確に社会関係資本と関連がみられる「信頼」や「互酬性」、地域の特性であるジニ係数などいくつかの変数が、個票単位で分析した時には必ずしも明確な形では現れない点が確認されたことなどは、既存研究のブレークスルーとなりうる大きな達成であった。 さらには調査結果を学者共同体に公表して批判を得るだけでなく、実際に調査させていただいた地域に赴いてその成果を報告し、さらなるフィードバックを得ることができた。 今後は、地元の人びとが今後の地域づくりの参考となるようなデータとなることを目指す。その過程としては、十分順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までに蓄積した研究資料、学会広告での質疑応答から得た知見、聞取り調査に基づく地域の歴史や実情に基づく知見、質問紙調査で得られつつある知見を、さらに深く掘り下げ、人口減少時代の社会づくりを考える上で必要な視点を提供することを目指す。 研究計画そのものは順調に推移している。 今年度はここ4年間で得られた調査結果をもとに、地域の人びとが自分たち自身で地域づくりを行うための参考資料となるような結果の提示を目指す。そのため、最終的な5年間の成果を研究報告書のような形でまとめ、公刊する。
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