2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22530539
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
笹原 恵 静岡大学, 情報学部, 教授 (40237813)
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Keywords | 派遣労働者 / 労働組合 / 非正規労働者 / JMIU / 偽装請負 / 日亜化学 / 光洋シーリングテクノ / 労働運動 |
Research Abstract |
本研究は派遣労働者の組合運動への参加および労働組合側の派遣労働者を含む非正規労働者の組織化戦略を調査分析することを通し、今日の労働組合運動のあり方を明らかにしていこうとするものである。 2010年度は、日亜化学工業(徳島)および光洋シーリングテクノ(徳島)において問題化している偽装請負問題に端を発する、派遣労働者の労働運動について資料収集を行い、これまでの経過について整理を行うと共に、派遣労働者の働き方についての市民調査を実施し、調査の下準備を行った。これらの二企業における派遣労働者はいずれもJMIU(全日本金属情報機器労働組合)に加入したうえで、直接雇用を訴えていたもので、部分的には直接雇用が実現しているが、他方ではいわゆる「組合つぶし」の強行に対して、解雇撤回闘争が進行中である。 日亜化学では、2006年10月に派遣労働者19人がJMIUに加盟し、徳島労働局に「偽装請負」の解消、直接雇用を求め、県の積極的な介入もあって合意が交わされたが、組合員が「選考」で落とされ解雇されたため、2009年12月、地労委の不当命令取り消しと地位確認を求める訴訟が開始され、現在進行中である。他方、同社の派遣労働者103人がJMIUに新たに加入し「日亜請負支部」が結成される等の動きもみられる。 光洋シーリングテクノでは、2004年9月にJMIU同関連支部が結成され、直接雇用を求める動きが高まった。しかし労働局への働きかけに危機感を抱いた会社側は派遣会社との取引終了を決め、2005年12月には派遣会社が全労働者68人に「雇用契約終了通知書」を送付。その後の交渉の中で2006年8月には「偽装請負解消のため、3年経過者から直接雇用し、正社員化に道を開く」という合意がなされ、2010年1月には「請負」として残っていた13人全員が契約社員になるなど一定の成果が見られたが、同社は2010年7月、支部代表に解雇通告をするなど緊張した労使のやりとりが続いている。
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Research Products
(2 results)