2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22530539
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
笹原 恵 静岡大学, 情報学部, 教授 (40237813)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 派遣労働者 / 労働組合 / 非正規労働者 / JMIU / 偽装請負 / 光洋シーリングテクノ / 労働運動 |
Research Abstract |
本研究は派遣労働者の組合運動への参加および労働組合側の派遣労働者を含む非正規労働者の組織化戦略を調査分析することを通し、今日の労働組合運動のあり方を分析しようとするものである。 2012年度も、引き続き、ナショナルセクターレベルの労働運動での派遣労働者をめぐる動きや個別労組の動きなどを追った。 1 2012年10月1日に労働者派遣法改正法が施行されたが、「改正」についての評価はナショナルセクターレベルで分かれている。 (1)全労連は、今回の法改正は、民主、自民、公明による「密室修正」であり、改正の主旨であった「登録型派遣・製造業派遣の『原則禁止』が削除されるなど、大幅な修正・後退」があったことは「遺憾の極み」としている(同事務局長談話2012年3月)。 (2)連合は改正法を「ねじれ国会の情勢下、労働者派遣法の創設以来の規制緩和の流れを転換させ、2003年から改正されていない現行派遣法を労働者保護に向けて一歩でも二歩でも前進させるもの」と評価し、特に「『違法派遣における雇用申込みなし規定』は日本で初めての画期的な枠組みであり、有期労働法制などと共に非正規労働者の権利保護に資する内容となっている」と高く評価している(同事務局長談話、2012年3月)。 2 個別労組については、光洋シーリングテクノ(徳島、以下、光洋STと記す)における派遣労働者の組織化問題に焦点をあて、JMIU(全日本金属情報機器労働組合)光洋ST関連支部の現況について分析を行った。同支部は2004年夏の結成以降、偽装請負の告発や会社への直接雇用・正社員化を働きかけてきているが、今年度は3月21日に同支部の組合員6人が正社員に採用され、9月21日には同組合員2人が正社員に採用され、43人が正社員になるなど大きな成果が出る1年であった。しかし組合も元代表であるY氏の解雇問題については未だ解決を見ていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の目的は、労働組合と非正規労働者との相互作用に焦点をあて立体的に分析しようとするものであり、本研究期間には、ナショナルセクターレベルから個別労組レベル、労働者個人レベルの3つのレベルにおいて、JAMとJMIU傘下の労組についての調査分析を行うものである。現時点においては、特にJMIU傘下の派遣労働者を組織化している個別組合の動向についての調査研究を進めているが、情報収集は継続しているものの、本年度に予定していたヒアリングが進んでいないため、研究計画が遅れており、次年度に早急にとりかかりたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、現在進めている「JMIU光洋ST関連支部」についての調査研究をすすめるとともに、JAM、またその傘下の支部においてもヒアリング調査をすすめ、比較研究を行うことによって、ナショナルセクターレベルの運動方針あるいは運動の進め方の差異を分析することにしたい。当初は、ナショナルセクター、個別労組、労働者個人レベルの順に、全国レベルから個人レベルへと分析を進める予定であったが、逆方向、つまり労働者個人から個別労組レベル、そしてナショナルセクターレベルと、いわば個人から全体を見上げるような形で分析を進めていきたいと考えている。
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Research Products
(4 results)