2011 Fiscal Year Annual Research Report
産業グローバル化先進都市地域の階層構造変動と集合行為レジーム
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22530542
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
丹辺 宣彦 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 教授 (90212125)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 麻理 名古屋文理大学, 健康科学部, 准教授 (60434635)
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Keywords | 地域社会 / 集合行為 / 公共性 / 階層構造 |
Research Abstract |
本年度前半は、前年度末に実施した「豊田市のまちづくり団体と活動ネットワークに関する調査」のデータの集計と分析をおこない、自動車産業で働いていた男性リーダーが地縁型団体で活躍し、女性リーダーの活動が目立つ広域型団体の活動領域と相対的に分離していること、また成果を上げるメカニズムも異なっていることを量的分析により明らかにした。東日本大震災の影響で、一時中断することを余儀なくされたが、市民活動団体へのヒアリングも春から秋にかけ約50件実施することができた。11月にはこれらの結果をもとに調査報告書を刊行して豊田市地域支援課他に提出した。研究論文については、地域社会学会年報と日本都市社会学会年報に査読付論文が掲載され、東海社会学会年報は掲載予定となっている。学会報告についても9月日本都市社会学会大会で報告するなど、研究成果を広く公表することができた。さらに3月には豊田市地域支援課の依頼で、「とよたの活動団体ネットワークの現在」という題の講演をおこない(於とよた市民活動センター)、研究成果の一部を地域社会に還元することができた。この講演の概要は地元紙(矢作新報3月30日付の記事)にも掲載された。 刈谷の調査は、震災の影響でやはり若干遅れ気味になったが、市役所、市民ボランティア活動支援センター、デンソー社会貢献推進室、NPO刈谷おもちゃ病院などへのヒアリング調査を実施した。年度後半には調査票の設計を開始した。 研究分担者の中村は、「農ライフの会」でのヒアリングとアンケート調査を実施し、これをもとにトヨタ退職者が新規就農した事例について東海社会学会大会、日本社会学会大会で報告した。また1月には本プロジェクトにも関連する学位論文を出版した。 以上の通り、本年度の本研究についてはおおむね順調に当初の目的を達成することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度末に実施した質問紙調査と、ひきつづいておこなったインタビュー調査等により、豊田市の市民団体の活動について、メンバーの属性、団体内外のネットワーク、活動のパフォーマンスとその規定要因について明らかにすることができた。学会誌論文、著書によりこれらの成果を公表し、豊田市および市民活動団体にたいしても、セミナーでの講演により成果の一部を還元することができた。震災の影響で、トヨタが操業を止めた時期に調査も一時中断することを余儀なくされたが、おおむね順調に研究目的を達成できていると言えよう。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、前半に刈谷市の地域住民を対象とした質問紙調査を実施するが、豊田市で2009年におこなった質問紙調査に改良を加え、防災関連の活動参加、外国人住民との紐帯、団体活動経験などの項目を追加したい。得られたデータについては、豊田市と比較しつつ、トヨタ自動車のグループ企業が集積する先進産業都市の特徴について分析を進めたい。2012年度後半は、この質問紙調査データの集計と分析を進め、年度末に調査報告書を作成したい。また豊田市の調査に関連して、科研プロジェクトのメンバーを中心としたグループで専門書を刊行する作業が進んでおり、25年度に刊行したい。本研究に関しては、中国の吉林大学との共同研究の話も進んでおり、今後の展開を考えてゆきたい。
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