2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22530546
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| Research Institution | Kobe University |
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Principal Investigator |
浅野 慎一 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (40202593)
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| Keywords | 残留日本人・日系人 / 国民国家 / ポスト・コロニアル / ナショナリズム / 公共圏 / 国家賠償訴訟 / 夜間中学 |
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| Research Abstract |
本年度、下記の4点で、研究を概ね順調に遂行できた。(1)日本に帰国・定住した残留日本人1世の生活と社会意識に関する調査結果の最終的総括に向けた作業を行った。昨年度末に刊行した報告書『日本人として 日本の地で 人間らしく生きるために』をふまえ、最終的総括としての報告・書籍の刊行に向け、これまでに収集したすべての資料・調査結果を再度、総覧・吟味・分析した。この作業の成果の一端は、2本の論文(「中国残留日本人孤児の国民国家に関する社会意識-アイデンティティ論を越えて」、「中国残留日本人孤児にみる国家賠償訴訟の組織過程-兵庫原告団における主体と連帯の形成」)として公表した。(2)残留日本人2世・3世に対する面接聞き取り・参与観察を実施した。特に該当する対象考が多数、通っている各地域の夜間中学校を主なフィールドとし、首都圏・近畿圏で約15名の面接聞き取り調査、及び、全国で1150名を対象とした配布調査を実施した。この成果の一端は、学会発表(「夜間中学からみた大阪」)、および全国夜間中学校研究大会における招待講演(「ミネルヴァの梟たち」)で発表した。(3)先行研究、雑誌・新聞記事、および国家賠償訴訟関連の資料の補足収集、および批判的総括を進めた。(4)中国に居住する残留日本人、およびその家族に関する調査結果の分析を進めた。
本年度の当初計画を越える成果として、D.Chapman博士(南オーストラリア大学)、K.J.Krogness博士(Nordic Institute of Asian Studies)の依頼により、“Blood and nation : The vicissitudes of citizenship as seen in the Japanese war orphans who remained in China”Household Registration in Japan : The Past in the Presentを執筆した。これは来年度、刊行されるが、昨年度の“Multicultural Japan & Identity Politics”(原書はハングル、ソウル大学出版)に続く海外発信である。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要欄に記した通り、交付申請書に記した計画をおおむね順調に達成しているだけでなく、当初計画を越える成果として、研究成果の海外発信が進行中である。また全国夜間中学校研究会の全面的協力を得て、全国規模の大量観察調査を実施しえた。
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| Strategy for Future Research Activity |
次年度の最大の目標は、最終総括としての報告・書籍を刊行するか、または少なくとも出版経費面の条件さえ整えられれば直ちに刊行可能な段階まで、研究を完成させることにある。それに向け、これまでの研究成果を再吟味・集約し、必要に応じて補足調査を実施する。また関係者(当事者・支援者・研究者)による研究会を開催し、本研究成果を率直な討議に付すことにより、さらに充実・発展させるととともに、当該問題の実践的解決にとって有益な社会学的知見を考察・提供する。なお研究成果の海外発信も引き続き推進する。
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