2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22530559
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
田間 泰子 大阪府立大学, 人間社会学部, 教授 (00222125)
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Keywords | 出産 / 妊娠 / ノーマライゼーション / 社会学 / ケア |
Research Abstract |
本研究は、日本の妊産婦の置かれた現状について、E.F.Kittay(Love's Labor. Routledge, 1999)のケアの理論を参照することによって、「ケアを中心とした社会」という視点からラディガルに考え直す。H22年度には研究代表者が前年に奈良県で実施した調査結果について、地域別・世代別、またインフォームドコンセントのあり方別等の角度から分析を行い、『「安心な出産のための奈良県アンケート」調査報告書データ編改訂版』および『「安心な出産のための奈良県アンケート」調査報告書分析編』を製本・刊行した。また、回答者と協力者への利益還元のため、市民対象の報告会を行った。学会等においては、2010年世界社会学会大会(スウェーデン)においてdistributed paperのほか、2つの研究会で報告を行った。調査結果概要は、最近10年間の出産において、それ以前と比較して(1)夫立会いが6割以上を占め、夫や実母・友人との相談が増える等、妊娠・出産までのネットワークが増えてきた。(2)ほとんどの産婦が出産経験を良かったと評価している。(3)WHOガイドラインを参照すると、浣腸は減っているものの、「十分な説明を受けた」浣腸や剃毛は減っておらず、加えて「十分な説明を受けた」分娩監視装置や会陰切開等が増加している。(4)超音波検査による診断と内診は大半経験されているが、その約4割で「十分な説明を受けなかった」と回答されている。(5)助産師の存在は認知される傾向にあるが、病院・診療所内で分娩を中心としたサービス提供者としてのみである。(6)医師を中心とした妊娠・出産の体制の充実が女性たちによって望まれている。(7)自由記述には、医療および保健行政に対する非常に多くの要望が寄せられた、というものであった。 国内調査については、諸事情から予定が遅れ、とりかかることができなかった。しかし、比較調査のため、世界社会学会大会への参加を兼ねてスウェーデンを訪問し、予備的調査を行い、H23年度の両国でのインタビュー調査のために調査項目の作成と、調査対象の選定を行った。
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Research Products
(6 results)