2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22530559
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
田間 泰子 大阪府立大学, 人間社会学部, 教授 (00222125)
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Keywords | 出産 / 妊娠 / ノーマライゼーション / 社会学 / ケア |
Research Abstract |
(1)国内調査 インタビュー調査は、奈良県内および県外の女性にインタビュー調査を実施した。対象者の選定にあたっては、当初予定していた市町村保健担当課を通しての依頼が困難であったため、個人的なルートによって、スノーボール式に行っている。平成23年度には特に母子家庭や起業している女性たちへのインタビューが可能となった。これらの女性の属性はマイノリティであるため、研究目的の仮説(2)社会的排除の側面に関する貴重なインタビュー内容となっている。また、11月にはスウェーデンから研究者を招へいし、日本で共同でインタビュー調査を行った。 (2)海外調査 研究目的の仮説(3)に関連して、6月下旬にスウェーデンを訪問し、合計11件のインタビュー調査を実施した。 以上の(1)(2)の結果から、妊娠・出産・育児を支える社会制度の相違が、女性の就労および妊娠・出産・育児経験に非常に大きな影響を与えていることが分かってきた。相違はあまりにも大きいため、スウェーデンでの共同調査と国内でのスウェーデン研究者との共同調査において、質問の意図や回答を互いに理解できない場面がいくつか発生した。これは非常に興味深い現象で、比較調査を今後も重ねることの重要性が確認できた。 (3)理論的研究として、特にケアと公領域・私領域に関連する先行研究をレビューした。 経費執行については、インタビューについて謝金を予定していたが不要となったため、インタビュー起稿等に利用した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本務校の組織改編業務の関係で非常に多忙な職務となり、国内ではインタビューを行う時間を予定どおり取ることができず(3)やや遅れている。しかし、それ以外の研究面については(2)おおむね順調に進展した。また、年度途中でリプロダクションに関する他国比較の研究チームの発足や、年度末には災害関連の研究との関連も生じたことによって、ケアと妊娠・出産・育児を支える社会に関する知見が深まり、(3)当初の計画以上に発展した面もある。なお、前者では奈良県の状況を日本の一つの典型として含めて考察し、チームとして学会からのConroy Awardを獲得した。下記業績の図書所収の論文には、妊娠・出産にかかわるケアの研究の成果を活かした。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度には、このカテゴリーによってインタビューを重ねるとともに、.マジョリティを占める専業主婦、あるいは共稼ぎ主婦に予定のルート(国内調査2)と4))で募集を行い、インタビューを重ねる。他に、あらたに奈良県立医科大学助産学専攻科教員の協力を得て、助産師・保健師への調査を進めることを計画中である。 スウェーデンとの比較調査は引き続き実施する。データの分析は、さらにケース数を増やしてから行う予定である。研究成果は下記のほか、論文として平成24年度内に出版予定(勉誠出版)で、現在、共著者と原稿を出し合い、調整中である。スウェーデンとの比較調査は、平成26年度の世界社会学会大会で報告する予定で共同研究を進めることになった。
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Research Products
(2 results)